Jojo Mayer (ジョジョ・メイヤー)インタビュー:観察することの重要性(3/3)

ジョジョ・メイヤー: 観察することの重要性 (パート3)
2014年3月31日

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(前回の続きです。音声インタビューを本ブログ主がかいつまんで訳したもので、一語一句ではありません。)


-最近のニューヨークでは、生活費は上がる一方なのにミュージシャンの給料はどんどん少なくなっていく、そして金を出す側ももっと少ない額しか払わなくなっているよね。 

あぁ、そう言っている人達もいるね…。多くのミュージシャンはドリーマー(夢想家)だ。魅力的でいい奴ばかりだ。それにドリーマーじゃなくちゃならない、理想家じゃなくちゃならないんだ。そうじゃなきゃ良いものなんて生まれない。20世紀のアメリカの良いところはそこだった。アメリカの理想主義はとても強かった。俺たちは理想を失って、今も失い続けている。焦点がどこか別の場所へ行ってしまった。今のニューヨークでは新しい事はあまり起こっていない。俺はずっと前に自分自身を築き上げたから今は居心地が良いけど、若い時にここに来るなら親が裕福で協力的じゃなきゃ何も可能性は見い出せないだろう。今のニューヨークにはもうサブカルチャーのための新たな舞台は無い。若いミュージシャンにとっては厳しい状況だな。

-5年、10年、15年後のニューヨークはどうなっていると思う?

分からないよ!俺はミュージシャンで、未来学者じゃない(笑)。でもあらゆる事が起こる可能性はあるし、それは恐ろしくもある。俺が役に立てる意見を言うとすれば、俺はみんなのアーティストとしての認識を心配している。ドラマーとしてだけじゃなく、特定の誰かというわけでもなく。どこかのバーで演奏したとして、もしそのバーにいた女の子が俺のライブの後で音楽を今までと違う感覚で聴く事ができたなら、それは俺の望む素晴らしい成果だ。正直であり、かつ成功をおさめる事は可能なんだ。分かるかい?

-ああ、アーティスティックな完全性だよね。 

うーん、アーティスティックな完全性だがそれがくだらない事への完全性なら、それは結果くだらない事だ(笑)。例えば、ライブをするとして一部または完全な口パクでマディソン・スクエア・ガーデン(NYのエンターテイメント会場)を埋め尽くす事なんて想像を絶する事だったが、今は皆がやっているし、もはや秘密にすらなっていない。そうやって俺たちの認識は変わってしまった、そうやって窓の外をデタラメなフィルターで見るようになった。食えと言われた物を食うようになった。それがロックンロールじゃない事は確かだし、俺の関心事じゃないのも確かだ。俺が学びの祖としてきた人物にそんな事をしていた奴は一人もいなかった。バッハやベートーヴェンやモーツァルト、チャーリー・パーカーもビートルズもヘンドリックスもフランク・ザッパもジムモリソンも、そんな事はしなかった。

-なぜそうなったと思う?なぜ人々はそんな才能も信頼性も劣るような事を良しとするようになった?

それは皆が恐れているからだ。一人になるのを恐れている。単独でやる事を恐れている。排除されるのが恐いんだ。Facebookで友達がいなくなるんじゃないかと怯えている。”いいね”には中毒性がある、それにコントロールされるようになる。周りが君にどうするべきかを言ってくる…まぁ、それはまた違う話だ。この話はドラムとは関係ない。とにかく、ニューヨークでライブをしようとするなら、主にはそのクラブのオーナーやノルマといったハードルをうまく飛び越えなければならない。「お前たち最高だな、俺たちと一緒に面白い事やろうぜ」みたいな以前の雰囲気とは違う。「お前たちは人を呼べるのか?」「大丈夫です、仕事場の人を全員呼びますから。」彼らは音楽がクソだろうが関係ない。彼らが心配しているのは今月の家賃が払えるかどうかだ、もし払えなければ貸してもらえなくなる。ニューヨークは高級化していて、全てが高い。ニューヨークは今1%でしかない、もしロックンロールがやりたいならその1%に逆らわなければならない。欺くんじゃなくてね(笑)。政治的な話になっちゃったな!あははは。

-すごくよく分かるよ。昔この場所は革命的で皆が実験的な事をしていたけど、今じゃ、 

もし実験したいなら、他でやるしかない。他に場所がないなら、実験はできない。舞台だと思える場所が必要だ、現代でいえばインターネットがあり新しいものはほとんどYouTubeで見られる。クラブや街中じゃない、それが舞台だったらそれを使えばいい。

-インターネットの影響でレコードが売れなくなって、それによってみんなが家から出たり、お金を払って演奏を見る必要すらないと思うようになってきてるよね。 

ああ、だがそこには一つ得られないものがある。それは個人の体験だ。YouTubeで動画を見て何百万もの人々と同じ体験を共有しても、個人の体験はできない。ライブのために出かけていく事や、そこでドリンクを頼んでその場にいる人たちと話をしたりすること。それは別物だ。

-うん、そうした事が全てを仕上げてくれるんだよね。

 俺は50カ国ほどで演奏してきたけど、キューバは特別だった。キューバは政治色が強く、時が止まっているかのようだった。皆がアートをしていて、それは素晴らく腕の立つものだった。観光客向けのものは別として、俺が見た全てのアートは本当に素晴らしかった。ニューヨークにあるキューバの兵器的な展示は痛ましかったけど、今ある究極的に熟練した作品の割合で言ったらニューヨークよりキューバの方が優っているよ。彼らは人間同士の交流に価値を置いている。彼らにはそれしか無いから。俺たちにももっと人間の交流が必要だ。そして音楽は人間が交流するためのツールだ。だから、もし音楽がそれを手助けできたら俺たちの住む世界はもっと良くなる、孤独を感じる事も減るだろう。今は誰が流行っているとか、「あの人のあれ見たか?ヤバいよな?」とか、有名人のゴシップとか買い物とか、1日の終わりに君を幸せにしてくれるのはそんな事じゃないはずだ。もちろんキューバにだって物質社会は存在するけど、大事なのはバランスを取ること。興味深いのは彼らの中には人間的交流が中心にあることだ。

-スイスではニューヨークより人間同士の交流が盛んだと思う?

西洋社会ではほとんど差はない。ロンドンやニューヨークやロサンゼルスといった大都市に行けば行くほどそうだが、ロンドンをニューヨークと比べるなら、ロンドンはまだサブカルチャーに対してのスペースを保っていると思う。ニューヨークにとってそれが多少問題ではある。だがニューヨークには今だって素晴らしい人々がいる。ただ以前とは違うってだけだ。

-どこかへ引っ越すつもりはある? 

分からないけど体が許す限りは旅をし続けるよ。いつも何か違う、究極的なものを求め続けたい。それと同時に、都市生活から遮断された静寂が必要だ。両方を手にする事はできるけど、それを一度に手にするのは無理だから交互にやらなくちゃならないね。

-君についての最新情報はどこで見られる? 

Jojomayer.comだよ。ソーシャルネットワークも使ってる、便利なツールだとは思うけど…ある意味ストーカーされてる気分だ(笑)。俺はパフォーマーやプロデューサーとしてのキャリアを使って自分がいる産業と関わっている。ドラムのギアやベースドラムのペダルのデザインを手伝ったりしてるよ。

-実はそれについて聞きたかったんだ。今現在は良いと思えるペダルがなくて、周りが君のペダルを試してみろと言うんだ。 

ああ、チェックしてみてくれ。俺はフット強化のためのDVDも出していてそこでも色々説明しているけど…西洋では400年かけて出来たハンドテクニックのプロトコルが存在するが、ベースドラムのテクニックとなると100年間しかなく、プロトコルなんてものは一切存在しない。ただ意見があるだけだ。べースドラムに関してはもっとできる事があるはずだよ。40〜60年代にバディ・リッチがやっていた事は今のペダルではできない。今のペダルは反応がとても鈍くて中世の投石機みたいだ。バランスが良くない、ドラムスティックと一緒さ。良いドラムスティックは良いバランスを持っている。ベースドラムのペダルも同じだ。今のペダルは表現の幅をひどく縮小してしまっている。他にもシンバルやドラムヘッドや新しいものを作ってるよ。

-君の目標は何?演奏以外でも充実しているようだけど、本当にやりたい事は?

今やっている事をやり続けること。ベントレーに乗りたいんだったら違った選択肢を持たなきゃいけないが、たった今は自分のやりたい音楽をやっているし旅も出来ているし経済的な心配もなく、誰かのケツを舐める必要もない。それは現代のアーティストとしては素晴らしい事だ。例えば金持ちになれれば良い事だってあるだろうけど、俺は今手にしているもので十分だよ。あとは退屈にならずに健康でいること、そしてこれを続けることを望んでいる。それから、いろいろなところへ行ければ幸せだな。

-君について誰も知らないことを一つ挙げるとしたら?

君が何を知らないかなんて俺には分からないよ。聞いてくれれば教えるさ。

-君が自分をガンガン売り込むようなドラマーじゃなくて嬉しいよ。「みんな、俺は今ここにるぜ」とか「これ買ってくれよな」とかいうドラマーもいるだろ?

 そんな必要がないからさ。もちろん、そうやって最大限に引き出そうするのも可能だけど…すごく感謝しているよ、みんなが俺のやっている事に気づいてくれて、それに付いてきてくれていることに。彼らなしではやってこれなかったから。それが無かったら、俺は自分がやっている事と同じ事はやらなかっただろうし、出来なかっただろう。とても大事なことだし、それがアーティスティックな完全性だ。自分の信じる事をやれ。それが俺が若いドラマー達に言える事。くだらない事に屈するな。それは簡単な事じゃないが可能だよ。あとはユーモアで乗り切るのも大事だ。張り詰めることもあるからな、やり方によっては可笑しくもできる(笑)

-なるほど、今回はこの辺にしておこう。ありがとうジョジョ、すごく面白いインタビューだったよ!

ああ、ありがとう。

元記事 Drummer’s resource(英語)
http://www.drummersresource.com/jojo-mayer-interview/