グラフィックデザイナー Saul Bass (ソール・バス):お金を稼ぐこと VS 良い仕事をすること

「私は美しいものを作りたい。」

Saul Bass(ソール・バス) 

ソール・バス(1920年5月8日 – 1996年4月25日)は、ニューヨーク出身のグラフィックデザイナー。グラフィックはもちろん、映画界において、ただ文字が現れたり流れるだけだったオープニングやエンディング部分に動くオブジェクトや文字を用いてタイトルデザインを確立したデザイナー。


1. デザイン学生へのアドバイス

  

デザイン学生たちへアドバイスは?


“描くこと” を習得しなさい。

でなければ、君は今後ずっと それを避けながら
他で埋め合わせをして生きていくだろう

それは…
たとえば、なにか問題がある時
そのコミュニケーションの問題を解決するために
描くことをしなければならないのに
その代わりに君は、もっと劣った方法を探すわけだ

正面から向き合わずに 腕をねじ曲げ 肩を押して
問題を解決しようとする
その結果は四角だったり三角だったり
丸だったりするわけだが。
そんなのバカバカしいと思わないかい?
それはずっと続いてしまう

ものすごく大きな欠落だよ

しかも残念なことに
それでも何とかやっていけてしまう
そのままでも仕事はもらえるだろうし
ある程度までは行けるだろう

けれど気づいた時には…
「”描くこと”を習得しておけばよかった」と
後悔することになる
それじゃ遅いんだ

もう学校には戻れないし
夜学を受けるわけにもいかない
それに収入が落ちてしまったら困るだろう
今の収入でやりくりしてるわけだから、
ハイそれまで!
もう二度と、描くことを習得するチャンスはない
それって悲惨だと思わないかい?

  

   

2. お金を稼ぐこと VS 良い仕事をすること

  

…君たちが相手にすることになるアメリカの商業や
“美しさ”を求めない会社の話だ

-つまり本質的にはどういうことですか?

つまり、

-お金が一番大事?

いいや、お金のことを言ってるんじゃない。

私が言っているのは
デザイナーが考えなければいけないことは何か
つまり “美意識” とは
あなたの問題であって、私の問題だ
他者のものではない

結局のところ
私は自分たちが作るもの全てにおいて
個人的だろうと 私の事務所の仕事だろうと
美しいものを作りたい

私にとって、くだらないのは
クライアントがその価値を理解しているか、
価値があると思っているか、
そもそも価値はあるのかという問いだ

“それは私にとって価値がある”
私はそうやって生きていきたい
私は美しいものを作りたい
たとえ誰も見向きもしなくても。
醜いものとは反対に、という意味でね

もちろん全部を美しくすることは難しいけど
それが私の意図するところであり
そのためなら多少のことは厭わない
それに、私のお金はそこから入ってきている
なぜなら…
そうしたくだらない事を心配しなければ
人は格段に早く答えにたどり着くことができるから。

デザイナーは美しいものを作ろうとすれば
もちろん費用がかかる
もっと時間をかけなければならないし
処理したり 改良を加えたり
洗練させたり 試したり 実行したり…
すべてにお金がかかる
経費を使い果たしてしまうんだ

でもそれは、
(そこまでして)やるかやらないかの話で
多くの会社やデザイナーは
ただ仕事をして 金をもらって 一儲けして
それで幸せなんだ 

私には とても多くのデザイナーが
そうしたことを気にしていないように思える

でも大事なのは
まず他人にとっての価値に
惑わされないことだ

ソール・バスによる映画オープニング部分↓  

映画『おかしなおかしなおかしな世界』(1963年)