9thワンダー&ミシェル・ンデゲオチェロ「目指している技術を理解し、それを真剣に考えること。」9th Wonder & Meshell Ndegeocelloインタビュー(3/4)

司会レイチェル・ヒスロップ(以下:R)
ミシェル・ンデゲオチェロ(以下:M)
9thワンダー(以下:9)

  

R: ミシェルが、あなたが最初に作ったビートを知りたがってるわ。

9: まじでダサかったね。ヒドいもんだった。四つ打ちで…

M: テクノロジーは何を使った?

9: Cool EditとHammerっていうプログラムでビートを作った。1998年のRawkus(ロウカス)っていうレーベルの時代で、モス・デフやタリブ・クウェリやファロア・モンチなんかがいた。俺は当時流行ってたビートを作ろうとしたけどそのビートがひどくて、一旦距離を置くことにした。そして1999年の春に戻ってきて、再度挑戦して作ったのが良い出来だった。

当時もCool EditとHammerを使ってたよ、Cool Editは今だとAdobe Auditionとして知られてる。それからCool Editとビートボックスっていう昔のプログラムがあるんだけどそれを使おうと思った。そのあとFruity Loopも使ったな。

   

R: これが終わったらそのトラックをツイッターにアップしてくれるのよね?

9: それはないな。

   

R: ははは(笑) 次の質問に行くわ。まずミシェルが答えて、そのあと9thあなたね。自分の芸術性におけるテクノロジーの役割は?新しいテクノロジーによって進化/衰退した創造プロセスは?


M: まずカルメンに感謝。ネイティブ・インストゥルメンツのパッケージは本当に何もかも揃ってるから、オーケストラ形式の作曲や編曲ができる。そこがテクノロジーの良いところですね。私の技量ではまだサンプル音って感じだけど、生音と区別がつかないくらいのとこまで使いこなせてきてます。そのおかげで私にもオーケストラ風の作曲ができるとみんなに見せられる。それに私は訓練を受けたミュージシャンではないけど、テクノロジーのおかげでスコアを書き出せたりアレンジしやすくなった。

 

   
R: 9th、あなたは?


9: 90年代のビートマシンはどれもトンデモなく重かった。(笑)

MPC3000なんかも持ち歩くのは大変だったし、ASR-10も俺たちのスタジオにあったけど動かすのは2人がかりだった。俺はコンピューターで音楽を作ってたがMPCを使い始めてパッドが好きになった。

テクノロジーのおかげで自分のやってることが目に見えると同時に、パッドで演奏の感覚も得られるようになった。でもテクノロジーのせいで否定的側面になり得るのは、便利さだ。

小型軽量化してどこにでも持ち運べるから飛行機で移動中に音楽を作ろうとか。マシンを買えばビートや音楽が作れると思うかもしれないが、実際には音楽を作るには音楽を分かってないとダメだし、自分が何をやってるのかを理解しないとダメなんだ。

あらゆるテクノロジーのおかげで音楽が簡単に作れるようになったと思うかもしれないが、実際はそう簡単なものじゃない。俺はそう思うよ。

  

M: 私が思うテクノロジーの否定的側面は、ネイティブ・インストゥルメンツのことではなくPro Toolsや他のデジタル録音の話だけど、一曲通して演奏することができない人が多くなってる。

(会場拍手)

  

M: それに、なんで飛行機で移動中にまでビートを作らなくちゃいけないの?休憩は必要。時にはバッグにしまって弾かない時間も作らなくちゃ。

  

R: つまりスマホで音楽を作るのはナシってことね?

M: 私はスマホでは作ってない。(携帯を取り出す)

R: あらまあ、皆さん見て。ミシェルはガラケーよ。

  

ガラケーを見せるミシェル


(会場拍手)

R: ははは!でもガラケーの下にiPadがあるわ。

9: なるほどね(笑)

(会場:笑)

M:(紙の) 本もあるでしょ、このiPadに入ってるのも本です。

  

紙の本を強調するミシェル

   

R: この様子があなたを象徴してるわね(笑)次の質問は9thに。さっきミシェルにマドンナやオプラとの話を聞いたの。あなたはヤング・グルと深い関わりがあるようだけど、彼から学んで自分の技術を磨くのに役立ったこと、今も続けていることは?色々あると思うけど、ヤング・グルとの関わり合いで学んだことを一つ挙げるとしたら?

  


9: ヤング・グルとは知り合って14年になる。“The Black Album”の制作中に出会ったんだ。彼は間違いなく、俺が最初に出会ったヒップホップ界のエキスパートだった。今までに色んなエキスパートたちの曲を聴いてきたが、座って話をすることができた最初のエキスパートがヤング・グルだった。

音の達人だったよ、ミキシングや周波数や全部。

彼はエキスパートになることや、被写体のすべてを知ることの大切さを信じてる。今は写真にハマってるらしい。自分の技を磨くこと、自分が目指している分野の技術について知れることは全部知ること、そして、自分以前にどんな人物がいたのかを調べることを大事にしてる。彼のジャンルだとエンジニアのボブ・パワーだね。

  

(ミシェル:大きく頷く)

  

9: 彼はボブ・パワーのすべてを知り尽くしてたし、ボブ・パワーの話なら何時間でも聞いてられるだろう。ヤング・グルは“エキスパートである”ということや“技術を心得ている”とはどういう意味かをよく理解してる。それが俺が彼から学んだ一番のことだ。

自分の目指している技術を理解して知ること、そしてその事をものすごく真剣に考えることだ。

  

  

R: 生徒から学んだことは?

9: 「そう来たか(笑)教え始めて10年くらいになるけど、生徒に教わった事の一つは“共感”だ。音に関しての“共感”の話だけど、生徒たちが好きな音楽はあまり俺の好みじゃないが、彼らがなぜそれを好きなのかは彼らより分かってる。例えば18歳の若者が聴いてる音楽を聞いて、もっと上の世代は“コレの何が良いんだよ”って思うだろし、理解するのは難しいだろう。生徒たちとの会話で分かるのは、好みは時間をかけて築き上げられるってことだ。朝起きて突然それが好きになってるなんてことはない。」

  


同インタビューPart 2↓