Moog(モーグ)シンセサイザーの選び方!これから買いたい人にオススメの6つを紹介

  

YouTube公開日:2019年11月7日

リサ・ベラ・ドナ(マルチ奏者、作曲家、モジュラーシンセシスト、クリニック講師)

  

(以下はこのYouTube動画の音声を和訳したものです。)

 


 

どうも、リサ・ベラ・ドナです。今日はReverb.com(リバーブドットコム)でモーグシンセサイザーについて話したいと思います。

 

モーグは最高級のシンセを生み出していますがモデルが多いので今日は6つを取りあげて、あなたにぴったりのシンセを探していきましょう。

  

  

1. Minimoog(ミニモーグ)

  

  

Minimoogは1970~80年に製造され、ここ数年で復刻盤が発売されました。クラシックなサウンドで間違いなしのシンセで、数多くのレコードで使われてきました。Minimoogが他のどのシンセよりも優れていると思うのは、ステージ上やミックスでの音抜けの良さです。全てアナログの信号経路とフィルターのおかげでもあるでしょう。Minimoogは、多くのレコードでベースラインやソロやリードとして使われていることで有名です。

  

3つあるオシレーターをすべてユニゾンさせれば、タイトでダイレクトな音を作ることもできます。また、3つのオシレーターを少しずらせば、とてもリッチで太い、モノフォニック(同時に一つしか音が出ず、和音が出せない)でありながらパッド(曲のバックで鳴っている持続音)のような音を作ることもできます。

 

【リサの演奏(1:23〜)】

 

  

 

Minimoogには基本的に5つのモジュールがあります。左から2番目がオシレーターバンクです。それぞれの波形とオクターブレンジがあり、ファインチューン(半音以下の音程調整を行う機能)もあります。一番左のモジュラーはチューニングです。ピッチやフィルターに影響するグライドやモジュレーションですね。真ん中はミキサーです。自分が欲しい特定のオシレーターを個別に取り出すことができます。ノイズジェネレーターもあるので、宇宙っぽい風のような音やエフェクトを色々と作ることもできます。

 

MinimoogのVCFやフィルターは、いつの時代も変わらずとてもリッチで美しい音として知られています。VCAから出るアンプリチュードとアウトプットもそうです。なので超ホットで汚れた感じの音を作ることもできます。

 

【リサの演奏(2:36〜)】

 

Minimoogの全オシレーターをフル活用するには、ポリフォニック(和音が弾ける)シンセは持っていないけどポリフォニックな音を出したい場合は特に、次のようなこともできます。例えば今、1つ目のオシレーターを主音に調整し、2つ目を長3度に、そして3つ目を5度に設定しました。これで宇宙系のパッドを使っていくらかコードの展開ができるようになりました。

 

【リサの演奏(3:12〜)】

 

ということで、オールドスクールな音や音楽を作りたい人には Minimoog はおすすめです。極めて用途の広いシンセで、どんな音楽やミックスでも音の抜けが素晴らしく、あなたの音楽に特別感をプラスしてくれます。

   

 

  

2. Subsequent 37(サブセクエント37)

  

  

こちらはとてもリッチな音のする素晴らしいシンセで、モーグの現代の名作と言えるでしょう。基本的には全てアナログ信号回路ですが、デジタルストレージ搭載かつシーケンサーやアルペジエーターもあるので、シーケンスを保存したり瞬時にアルペジオを変更することもできます。また、デュアルモードフィルターも装備されていてフィルターへのスロープを切り替えることができます。他にも、エンベロープジェネレーターとオシレーターがそれぞれ2つあり、モジュレーションの方法が色々考えられますね。

 

 

  

このシンセで注目すべきは、ミキサー内に2つのオシレーターに加えて「サブオシレーター」があり、即座に1オクターブ下の倍音が足せるところです。また、このシンセのドライブには「マルチドライブ」があって、音にたくさんのパーティクル(粒子)や深みを足してくれます。

  

【リサの演奏(4:52〜)】

  

  

ということで、クラシックなモーグサウンドが欲しいけどプリセットは保存したい、他のモーグシンセには無い特徴も欲しい、しかもツアーにも最適なシンセが欲しい人には Subsequent 37 がおすすめです。

 

  

  

  

3. Grandmother(グランドマザー)

  

  

次はモーグで私のお気に入りの1つ、セミモジュラー・アナログシンセサイザーのGrandmotherです。このシンセはすごく特別で、これの登場により音の合成にとって、そして音の合成をずっとやってきた人にとって本当に多くの可能性が開けました。

  

  

基本装備はオシレーターが2つ、エンベロープジェネレーターが1つ、素晴らしいフィルターが1つあり、パッチポイントを使って色んな音を作れますし、マルチプルもあります。波形をマルチプライ(乗算)することもでき、それをアッテネーターでインバート(波形を反転)させれば、その場でとても独特な質感を作ることができます。「シンセサイザーを始めたい」と私に相談しに来る人には、このシンセをおすすめしています。

 

もう1つ特別な点は、アルペジエーターとデジタルシーケンサーがあることです。シーケンサーとアルペジエーターを瞬時に交互に切り替えられるので両方の良いとこ取りです。なので、シーケンスを鳴らしながら気に入った音ができたら、今度はアルペジエーターを使ってすぐにコード進行やインバージョン(転回系)を変えたりもできますし、そこから戻ってフリースタイルの演奏に移ることもできます。極めて用途の広いシンセで、リリースされて以来私の音楽にインスピレーションを与え続けてくれています。

  

  

では、パッチングをしていきます。(まずはパッチング以外の設定。)オシレーター2のオクターブを8に設定して深みを出し、Syncボタンを使いながら交互の切り替えを瞬時に行っていきます。また、エンベロープを短く、ディケイを長くしています。ローパスフィルターでキーボードをエンベロープジェネレーターに向けてコントロールし、スプリングリバーブを少しかけて電子音楽っぽいグリット感を出し、キーボード横のモジュレーションホイールや、ピッチコントロール(PITCH AMT ノブ)、あるいは、対フィルター(CUTOFF AMTノブ)のいずれかを調整して正弦波にモジュレーションをかけます。 

 

【リサの演奏(7:59〜)】

  

今お話しした設定にパッチングを施し、エンベロープを少しタイトにしました。シーケンサーを使うからです。その後アルペジエーターに切り替えてキーボードだけでいかにテーマを展開できるかをお見せします。

 

 

パッチングを左から順に説明します。まずシーケンサーとアルペジエーターのクロックをModulationのRate Inに結線しました(上の写真)。これでRateノブを回してLFOの周期を調整すると、ディバイド(除算)しつつテンポに合わせてくれます。

 

 

そしてModulationのWave OutからUtilitiesのアッテネーターのInに結線して信号を反転させられるようにし、今度はFilterのCutoff Inに結線します。これであらゆる質感や形の可能性が広がります。

   

  

Grandmotherで私のお気に入りのパッチングは、MixerのOutputからUtilitiesのHigh PassのInputに結線し、今度はOutputからMixerのNoise Inに結線するやり方です。こうするとノイズは失われますが、ラダーフィルターのような状況が生まれてすごくクリーミーでリッチな音になります。

  

  

そしてその周りに足すように、オシレーター2のWave OutからFilterのEnv Amt Inに結線します。これはよく見るパッチングですね、いい感じに煤けた音になります。

 

【リサの演奏(9:25〜)】

  

ということで、他とは違う音やアナログな雰囲気を求めている人はGrandmotherから始めると良いでしょう。価格もかなりお手頃で、モジュラーシンセを始めたい人にもおすすめです。また、MIDIもあるのでデジタル作業環境にも適しています。デジタル環境で作ったセッションをGrandmotherのクロックに同期させたり、逆に、Grandmotherでセッションをコントロールして、それに応じて即興するのもいいでしょう。

  

  

 

4. Matriarch(メイトリアーク)

  

  

こちらは私の中では即行で傑作入りしたシンセです。私が現代のシンセに欲していた要素がいっぱい詰まっていて、完全にヴィンテージの雰囲気が作れるだけでなく、こちらもMIDIやクロックを使ってラックやセミモジュラーやモジュラーシンセと同期させられるので、かなりの可能性を秘めています。ですがMatriarchは4ボイス・パラフォニックで、ポリフォニックの楽器としてこれで何をするかは注意深い選択を迫られるシンセでしょう。

 

このシンセで面白いのは、シーケンサーもポリフォニックなところです。後ほどお見せします。とても多機能なシンセで、4つのオシレーターのうち3つが同期可能なのですごくジューシーでカッコイイ音が作れます。ステレオラダーフィルターも素晴らしく、独特なステレオのエフェクトやイメージやパッドをたくさん作れますし、LFOをこれに同期して渦を巻くような素敵な音を作ることもできます。また、デュアル・エンベロープジェネレーターとステレオ・ピンポン・アナログディレイもあります。

 

Grandmotherと同じレイアウトですが、こちらにはUtilitiesが2つ、エンベロープジェネレーターも2つ、そしてフィルターが1つあり、モジュレーションも広範囲です。シーケンサーのバンクは4つあるので好きなシーケンスを保存できます。

 

ではまず、4ボイス・パラフォニックモードをお見せします。 Matriarchの良さが感じられる奏法ですね。オシレーターに少しモジュレーションをかけて豊かな感じにし、2つのローパス・ステレオラダーフィルターに通しています。それから少しピンポンディレイもかけました。

  

【リサの演奏(13:15〜)】

 

さて、ここではシーケンスを予め準備しておきましたが、まずアルペジエーションモードから始めて少し即興を入れ、それからシーケンサーに切り替えます。

  

シーケンサーのCV OutからModulationのSync Inに結線し、Modulationの周期をとても遅く設定しています。そして、ModulationのWave Outからマルチプルに、マルチプルからアッテネーターのInputに結線しています。

 

 

また、同じ波形をマルチプルから分裂させてフィルターVCFデュアルラダーフィルターに結線しています。これで、渦を巻くいい感じの音がシーケンサーのクロックに合わせて鳴らせます。全4つのオシレーターと、波形も色々使います。ノコギリ波を2つ、パルス波は2種類使います。また、同じモジュレーションソースをオシレーター3のPWM Inに結線して、ちょっとした変化をつけます。それを、ゆっくり流れるような感じに設定したエンベロープジェネレーターに通し、シーケンサーに同期させたステレオディレイを再度かけます。間を空けてもいいんです、全部をものすごく広いステレオにしなければいけないということはありませんので。用途に合わせて調整してください。このシンセに限界はありません。

  

【リサの演奏(15:18〜)】

  

Grandmotherが好きで、ポリフォニックなどの更なる機能が欲しい人には、価格とその機能からしてMatriarchに勝るシンセはないでしょう。

 

  

  

  

5&6. DFAM & Mother-32 (ディーファム、マザー32)

  

  

セミモジュラー系のラストはこちら。小型の素晴らしいモジュール、DFAMとMother-32です。

 

DFAMはどちらかというとドラムマシン寄りの設計ですが、ハーモニックなこともできるパワフルなアナログシンセです。でもライブでは特に、雷のような迫力のあるリズムマシンでもあります。そしてMother-32。私はこれにすごくハマってしまい9個も持っています。とても直球でありながら柔軟なシングルボイスド(=モノフォニック)セミモジュラーアナログシンセサイザーで、シーケンサーも付いています。この2つのシンセを組み合わせるとすごく面白いことができます。

 

 

もう一点、Mother-32で注目すべきは、大容量ストレージと複数のバンクがあることです。1曲や1セットで色んなシーケンスが使えます。DFAMにはオシレーターが2つとノイズソースが1つあり、エンベロープジェネレーターやレゾナントフィルターと組み合わせて最高のドラムを作ることができます。

  

DFAMで私が好きな点は、シーケンサーのノブに溝がないので、とても伸縮性のあるドラムやシーケンスが作れるところです。Mother-32は多機能で、パルスウィズモジュレーション(PWM)付きのオシレーターがあって色々な倍音のアイデアが考えられます。他にはエンベロープジェネレーターとフィルター装備で、フィルターはハイパスまたはローパスに切り替え可能です。これらはすべてセミモジュラーの性質に沿って操作することができます。

 

では実際にお見せしましょう。今から即興を行いますが、DFAMを主体のクロックとしMother-32をコントロールします。

  

  

Mother-32には異なる設定をしてあり、LFOをフィルターとオシレーターにかけてシーケンスを鳴らしながら複数のインターバルを作れるようになっています。私はパルスウィズモジュレーションに同期させる方法が好きです。そうするとシーケンスを鳴らしながら色々な種類の音を考え出せるからです。

 

【リサの演奏(19:23〜)】

  

ということで、古典的な電子音楽をやっている人やヒップホップをやっている人、あるいは、全く新しい質感の音やリズムを手元ですぐに出したい人で、特にキーボードプレイヤーじゃない人は、DFAMとMother-32が良いでしょう。

  

 

 

さて、いかがでしたでしょうか?今日は6つのモーグシンセサイザーをご紹介しました。皆さんがモーグのシンセイザーを選ぶ際の参考になれば幸いです。それではまた。

 

【GrandmotherとDFAM&Mother-32を使ったリサの演奏(21:10〜)】

 

おわり