Cory Henry(コリー・ヘンリー)「僕にとって練習は辛い事ではなかった。」インタビュー

グラミー受賞のキーボーディスト、コリー・ヘンリーのインスピレーションとファンキーな即興

 

2018年5月18日
By デイビット・ホックマン

 

(写真:KEVIN CHIU)コリー・ヘンリーは自身のバンドThe Funk Apostlesと今年の春~夏にかけてワールドツアー中だ。

 

 

音楽的に見れば、コリー・ヘンリーは彼の世代のビリー・プレストンになりつつある。軽快で堂々としたキーボードスタイルは、ゴスペル、R&B、ファンク、ソウル、ジャズ、ロックの融合を感じさせる。彼は、ブルース・スプリングスティーン、ディディ、ザ・ルーツ、マイケル・ドナルドなどの偉大なミュージシャンとの共演やツアー経験もある。

  

ブルックリン出身の31歳(2018年時点)のコリーは、ジャズポップのインストバンド Snarky Puppy(スナーキー・パピー)との共演で最も知られているだろう(同バンドとの作品で3つのグラミー賞を受賞)。

  

今年の夏は、自身のグループ The Funk Apostles(ザ・ファンク・アポストルズ)のアルバム『Art of Love』のワールドツアーがあり、5月19日土曜日のロサンゼルス公演を皮切りにニューポートやモントルーなど各地の夏フェスに出演する予定だ。

 

私や私の周りは彼の大ファンで、中でも一度聴いたら頭から離れなくなる曲が『NaaNaaNaa』だ。忘れられなくなるので以下のリンクを見る方はご用心を。この動画では彼の歓喜のパフォーマンスが楽しめる。

【補足:以下の動画は見られなくなっているようです。】  

 

 

【補足:ということで以下の『NaaNaaNaa』をどうぞ⬇️】

 

 

お分かり頂けただろうか?

  

私はコリー・ヘンリーの良質な即興や曲の雰囲気が大好きだ。ザ・ビートルズの『イエスタデイ』やスティーヴィー・ワンダーの『All in Love is Fair』のような伝道集会(キリスト教徒が音楽などを交えて交流する集会)を思わせる雰囲気がある。今回のインタビューではそんな彼に、音楽的に影響を受けたもの、ステージでの習慣、成功の秘訣、今聴いている音楽について聞いた。

 

 

パフォーマンスモードに入るためにしていることは?

  

コリー:僕の場合はバラバラです。最近は『ソウル・トレイン』(1971~2006年の米国ダンス音楽番組)をたくさん見てます。あと、モチベーションを保てるのでパフォーマンスの前にはいつも筋トレをします。ステージに上がる前に、腕立て伏せを150回やるんです。声のウォームアップにも良いですしね。YouTubeでモハメド・アリを見たりもします、大抵は『スリラー・イン・マニラ』を。すごく良い試合です、彼の昔のインタビューも見ます。アリは観客に向けた試合の仕方が素晴らしくて、いつも僕を奮い立たせてくれます。

 

コリーを鼓舞し続けるモハメド・アリ

 

 

君のライブはいつも少しずつ違うけど、即興はどれくらい入れる?

 

コリー:僕たちはできる限り一つ一つの演奏を特別で違うものにしたいと思ってやってます。肝心なのはそのエネルギーを高いままに保つこと。だから演奏も常に変えていきます。変化がさりげない時もあれば劇的な時もあります。今のThe Funk Apostlesとのツアーでは、ほぼ“水”って感じですね。お客さんから投げかけられるものが何であろうとそれに反応して返していきます。向こうからのエネルギーが大きいと感じる時なんかは「よし、やってやろうぜ」って思うし、もっと激しくした方いい時はそうします。速めの曲をやったりテンポを変えてみたりパーティー音楽をやったりもするけど、お客さんはなんとなく僕たちと息を合わせてくれるんです。でもステージに上がるまで何が起こるか僕にも分からないですね。

 

 

映画『バックコーラスの歌姫たち』ではバックミュージシャンとして著名なミュージシャンたちの後ろで演奏していたね。そこからどうやってフロントマンに?

 

コリー:正直、フロントになるのはそこまで大変じゃありませんでした。こういう事は自分の人生でずっとトライしてきた事だし、バンドをリードしたり頭の中で聴いてる音楽をそのまま演奏するのは僕にとって自然な事なんです。16歳の時にゴスペルグループをやっていて、曲も全部僕がオルガンで弾きながら書いてました。そのグループはそれほど有名にはならなかったけど、その時の作りたい衝動や前に出てパフォーマンスしたい気持ちがずっと僕を突き動かしてきました。

 

 

子供の頃に教会で演奏していた時のことを教えて。

 

コリー:僕の両親は教会で育ったから、僕にとって教会は自分の音楽への衝動を少し早く把握する入口でした。4~15,16歳まで毎週教会で演奏する機会があって、プロのミュージシャンになったのも間違いなくその経験のおかげです。子供の頃は、次のレベルに進むんじゃなくて競争心でした。バスケやその類も好きだから。中学高校では、他校の小屋でやってるジャムセッションに行って、音楽コミュニティーに属してる友達と週に3回だけ集まってスポーツみたいにお互い競い合って演奏してました。

 

 

じゃあ君にとってスケールの練習は面倒ではなかった?

 

コリー:僕にとっては良い時間でした。ジャズをたくさん練習してたし、ジャズ音楽だけじゃなくジャズコミュニティーにもすごく若い時にすでに入り込んでいて、かなり早い段階で「心底これをやりたいんだ」って言ってました。それでレコードにハマって音楽を譜面に起こし始めて。僕にとって練習は辛い事ではありませんでした。こうしなさいと指示するような存在はいなくて、ただずっと弾いてたんです。『ベルエアのフレッシュ・プリンス』(テレビ番組)を見ながら練習したりしてました。練習だとは感じてませんでしたけど。

 

 

ブルース・スプリングスティーンやその他著名人と共演して学んだ事は?

 

コリー:パフォーマンスやリハーサルでオルガンを弾きました。彼のそばにいられて良かったです。彼はその音楽の中に入り込む人だと知ることができました。決して中途半端にはやらない人でした。(スプリングスティーンは)現場に現れて、合図をだしたりコードを変えてみたりして、出来る限り良いサウンドになるよう心掛けてました。こういう事をやらない人もいるんです。ケニー・ギャレット(サックス奏者)の時も同じでした。レコーディングやパフォーマンスというものにどれほど真剣に取り組まなければいけないかを僕に教えてくれました。コミュニケーションとしての即興を目の当たりにしましたね。それに、モンスター級の制作者たちとも関わることができました。ディディ(音楽プロデューサー)の仕事量はすごいです。レニー・クラヴィッツもそう。彼らのそばにいると、どうやったらこんなに多くの仕事をこなせるんだ?と驚きます。

 

 

今聴いている音楽は?

 

コリー:僕の人生を通してずっと聴いてる人たちがいます。スティーヴィー・ワンダーの『Innervisions(インナーヴィジョンズ)』や『Songs in the Key of Life(キー・オブ・ライフ)』とか、マーヴィン・ゲイの曲で今聴いてるのは『I Want You』です。このアルバムの全曲が素晴らしいですね。ジェームス・ブラウンの『In the Jungle Groove』も。今のマイブームはアル・グリーンで、『I’m Still in Love with You』を毎日聴いてます。今の僕にはものすごく意味深く心に響いてきます。

 

 

音楽業界で成功するためのアドバイスは?

 

コリー:もし物事が速く動いているなら、速度を落として。僕は始めの頃、最初に物事が熱を増してきた時に、早くそこにたどり着きたくて、いくつか良くない決断をしてしまいました。もっと思慮深く決断をしていたら良かったんだろうと思います。だから、やって来るオファー全てに飛びつくんじゃなくて、立ち止まって考えて、「自分が本当に求めているものは何か」を自分自身に問うことです。そうすれば、いずれそこにたどり着きます。

 

コリー・ヘンリーのMoogシンセサイザーのデモ

  

元記事 Forbes(英語)
https://www.forbes.com/sites/davidhochman/2018/05/15/grammy-winning-keyboardist-cory-henry-on-inspiration-and-funky-improvisation/#6ba99a2a38ce