素人ミキシングがバレる10のサイン(とプロのように聞こえさせるコツ)

By MusicRadar
2020年2月14日

 

1. 聞こえ方が狭すぎる
2. 周波数の問題
3. 散らかっている
4. 音が合っていない
5. 魅せどころは?
6. 雰囲気が合っていない
7. 面倒くさいから
8. ごく当たり前のこと
9. 音が大きすぎる
10. 完璧すぎる


 

どんなに手を尽くしてもプロの音にならない。そんなあなたに朗報です。

 

(写真:Future)

 

自分の新曲のミキシングに何時間かけても、お気に入りのあの曲みたいな音にならない。

 

ベースを強めたり、色々とエフェクトを掛けたり、要素を足したり(でもやっぱり消したり)、音を大きくしたり…思いつくことは全部やったのに目指す音にならない。

 

さてどうしますか?もしかしたら駆け出しのプロデューサーがいずれ陥るありがちな過ちを犯してしまっているのかも。

 

音楽制作はしばしば孤独で私的な体験です。寝室で静かに(orうるさく)楽しく作曲しながら夢うつつになっているあなた。でもそれは同時にそのプロジェクトに入り込みすぎているということ。

 

見事に完成された曲を作るには、一歩引いた目線客観的な耳で聴くことが大事です。ある程度ちゃんとしたスタジオモニターを用意するのも良いですね。適切に聴けなければ、自分のミックスのフルダイナミクスや周波数レンジ、音の関わり合いを正しく評価できません。

 

 

見事に完成された曲を作るには、一歩引いた目線と客観的な耳で聴くことが大事です。

 

良いモニターセットは最大限にフラットな周波数特性を持っています。だから音楽に色に付けてしまうことがないのです。例えば、ベースが強すぎるスピーカーを使ってミックスするとベースを抑えがちになり、他のシステムで聴いた時にちんけな音に聞こえたります。

 

一般的には、自分の操作を熟知している場合や、音を聴く部屋の環境が最悪の場合を除いては、ヘッドフォンでミキシングの音確認をすべきではありません。また、曲がほぼ完成したらできるだけ多くのセットアップで試し聴きしましょう。いろんなシステムで聞けば聞くほど相違点に気付きます。

 

どう聞こえさせたいかを考えるのも大事です。作曲時に頭に浮かんでいたアーティストやジャンルと自分の音楽を聴き比べてみると多くを学べます。

 

ペース、プロダクション全体、EQについても考えましょう。コンプを掛けすぎてませんか?曲が長すぎないですか?一流と肩を並べたいのなら、製品化され世に出ている楽曲と比較評価するしかありません。

 

 

聴いて学ぶ

 

もちろん他者からのフィードバックも大切ですが、価値あるフィードバックをもらうのは簡単ではありません。音楽制作がとても個人的なものであるように、リスナーによっても好き嫌いは分かれるからです。

 

解決策としては、知識や経験に基づいて話をする人(それなりの人数)の意見を聞くこと!今回は長年に渡るミキシングや音楽制作の経験のみならず、読者のデモ音源や新規契約のアーティスト、商業リリースを数多く聴いてきたMusicRadarの専門家たちが明確化した「駆け出しプロデューサーにありがちな過ちTop10」をご紹介します。

 

周知のものからあまり知られてないものまで全てを網羅しています。派手にしたくてアレンジしすぎたり、あまり完璧にしすぎるのも禁物!←本当の話です。

 

次回の制作からは以下の事を頭に入れて臨めば、あなたの悪夢もきっと消えるでしょう。

 

 

1. 聞こえ方が狭すぎる

ミキシングでありがちな問題の1つに、要素が音面の一部分に詰まりすぎている(又は足りていない)ことが挙げられます。音楽を3次元で考え、最初に幅を確認しましょう。

素晴らしいミックス(ミキシング)は、暖かい毛布のようにステレオスペクトラム全体に広がっています。一方で、お粗末なミックスは全てを投げ入れるかのごとくピンポイントで直線的に鼓膜に突き刺さります。

 

この点を意識して“謙虚な”パンの使い方を覚えましょう。パートをいくつか目一杯左右に振りします。そして、変わったエフェクト、パーカッシブなノイズ、パッド音は強めに左右に振ります。コーラスをその更に内側に置き、メインボーカルとベースは真ん中に置くのが大抵の場合でベストです。

 

多少のルールはありますが、それを破ってはいけないわけではありません。たた注意してほしいのは、最終的にスペクトラムの一部ではなく幅全体に音が行き渡っているかどうかです。1つのエリアに全てを置いて(パン振りして)しまうと、リスナーは単純にスピーカーやヘッドフォンの調子が悪いのかと思ってしまいます。

 

 

2. 周波数の問題

 

幅の次は深さです。ブリキのような音でガミガミ怒鳴りつけられている気分になるミックスほど最悪なものはありません。

 

この場合は大抵、ミックスの段階でひどいモニターを使っています。優れたモニターであれば周波数レンジ全体を聴くことができます。シンプルな実用術としては、同じ周波数の楽器を離して置くこと。わんぱく小僧みたいなもので、離しておけば注目を集めたくてケンカすることもありません。

 

まず攻めるべしは下端や低音域です。ほとんどのジャンルでは何らかの低音が主導なので(ロックならベース、電子音楽ならシンセベースなど)、ミックスでも掴まっておけるローエンド要素があることを確認してください。そこから全てを上向きに、周波数レンジ全域に広げていき、スペクトラムでどこか1つのエリアに諸要素が集中しすぎないようにします。

  

(写真:Future)

 

 

3. 散らかっている

 

コンピューターのおかげで底知れぬ音楽的な力が身近なものになりましたが、だからと言って曲を作るのに毎回256トラックも使わなければいけないということではありません。実のところ、上手に録音された音や楽器を少数トラックに収めてわずかなアレンジだけで作られた名曲はたくさんあります。

 

60年代に編み出されたフィル・スペクターの『Wall of Sound(ウォール・オブ・サウンド)』は有名ですね。名前からして何でもかんでも詰め込んだように聞こえるかもしれませんが、実際には別々の大音響を上手に録音して音に厚みを出した手法です。

 

周波数レンジ全体に音を広げることとステレオイメージ(音像)の大切さについては既にお話ししましたが、単純にアレンジから部位を取り除いて音を整理整頓するのも手です。

 

典型的なダンストラックではドラムマシン、ベースライン、ボーカルを売りにしたりする一方で、ポップソングにはボーカルとギターだけを目立たせたシンプルな作りの名曲があります。なかなか勇気がいりますが、音を減らして印象を強めることもできるのです。

 

 

4. 音が合っていない

 

構成部位のせいで全体にまとまりが出ず、音がしっくりこない場合もあります。リアル音源とシンセのブラス音を一緒に使ったり、サンプリングのタイミングやピッチが微妙にズレていたりして、単純に音が合っていない可能性が考えられます。

 

また、ありきたりな音のプリセットを使ったり、過度または不適切なエフェクトの使用も原因かもしれません。でも誤解しないでください、粗いローファイサウンドは正しい文脈で使えば素晴らしい効果を発揮します。全てはその曲に合った正しい音を使えているかどうかです。

 

ミキシングも極めて大切です。サビやリードボーカルなど、目立たせたい音があるのは当然ですが、そのアレンジを成り立たせている他の音のミックスがお粗末だと調和が生まれず、目立たせた音に曲を乗っ取られてしまいます。(耳に痛いパーカッションのループ、スピーカーコーンを吹き飛ばすほどのサブベースなど、挙げたらキリがありません!)

 

  

5. 魅せどころは?

 

当たり前のことを言うようですが、普通のデモ音源によくある主な問題の1つは「普通すぎること」です。リスナーが思わず聴いてしまうような何かがなくては数ある曲の中に埋もれてしまいます。

 

自宅での音楽制作ができる喜びを知る人の数は増えていて、「数ある曲」の数も増えているばかりかその質も良くなっています。ということは今どき価値のある曲を作るには、パッと目立ってずっと覚えていやすい何かしらの魅力を盛り込む必要があるわけです。

 

何が大きな魅力になるでしょうか?ベースの音や何かの楽器パート、メロディー、エフェクト、ボーカルトリックなど、ほとんど全てに可能性は潜んでいます。例えばカイリー・ミノーグの『Can’t Get You Out Of My Head』といった最高峰のポップソングにはこれらの要素が全て詰まっています!

  

カイリー・ミノーグの『Can’t Get You Out Of My Head』

 

でも大抵は1つで大丈夫です。素晴らしいエフェクトやリフが1つあればリスナーは曲が終わってすぐまた聴きたくなったり、その日一日中その曲を鼻歌で歌ってしまうなんてことも。魅せどころを正しく盛り込むことができればもう勝ったも同然です。

 

 

6. 雰囲気が合っていない

 

曲に合った雰囲気を選ぶことは作曲やミックスの際に最も考慮すべき点でしょう。

  

グルーヴが合っていないとダンストラックの要の部分を壊してしまいます。アンビエントでグルーブのない音楽であっても雰囲気は必要です。素晴らしい曲を作る上で雰囲気を捉えることとグルーヴを強調することは大切な作業の一環です。

  

周知のことですが例えば、クラブ用の曲ならBMP120くらいで4つ打ちにするれば掴みはオッケーですし、もっとゆったりした曲ならテンポを落としてスイングを加えると良いでしょう。

 

更に言えば、自分のビートを明確化してトラックの全体的な雰囲気にマッチさせるためのテクニックは無数にあります。テクニックを勉強して使ってみましょう。

 

グルーヴはビートによってハッキリするものですが、ビートのせいでグルーヴが壊れてしまうこともあります。カッチリ正確な4つ打ちをソウルやヒップホップの曲にはめようとしても全然合わないことも十分ありえます。

  

  

7. 面倒くさいから

 

長年信頼されている音や技にはそれなりの役割がありますし、その曲にまさ必要な要素だったりしますが、多くのプロデューサーは特に何も考えずにあるジャンルの特徴を借りてきて手当たり次第に色んなものに使ったりします。クリシェ(決まり文句、陳腐な表現)は曲を平凡なサウンドにしてしまうことがあるのでまず自分なりに考えましょう。

 

このアドバイスはDAWの使い方にも言えます。単純に合うからという理由でアレンジに何かを加えたり、そういう機能があるからといってソフトに自動でテンポに合わせて部位を引き伸ばさせたりするのは要注意です。

 

それから、シンセのプリセットにももちろん素晴らしい音が入っているとは思いますが、プリセットの音が良いからといってその音を使うと、同じシンセを持っている人にはすぐに分かりますし批判的に頭を振られてしまいます。ですがプリセットは使ってもらうために作られているので、こういったある種の上流気取りは色んな意味で間違っていますが、その音が知られていれば知られているほどソースもバレるので、少なくとも多少のひねりを加えて自分独自の音に仕上げましょう。

 

  

8. ごく当たり前のこと

 

チューニングのズレはお話になりませんが、ボーカルのキーが外れている、メロディーの不調和、意図しない露骨なピッチ補正などはエンジニアをイラっとさせるデモ音源あるあるです。こうした症状への処方箋はこれ。

 

「頭の両サイドに耳っていう軟骨のひらひら付いてるよね。それを使え!」

 

「エンジニアの悩みの種」第2位に僅差でランクインしたのはヒスノイズです。これはアナログからデジタルになった初期の頃によくありがちな問題でしたが、何も繋がずにソフトウェアだけで制作しているのであれば作る側も聴く側もヒスを経験することなはいでしょう。

 

ボーカル、ギター、その他の生楽器を録音するなら、ヒスの予防策と修正のためのステップを踏んで異音を取り除きましょう。

 

そしてここまで来て、ステレオマスタリングされた曲でクリップが聴こえようものならもう驚きと怒りを感じずにはいられません。クリップがなければ素晴らしいのに、その曲のプロデューサーが音圧は高い方が良いと思い込んでいて勿体ないなぁと思うデモ音源はたくさんあります。次の項目がまさにこれで…

 

 

9. 音が大きすぎる

 

音楽的に考えた3次元のうちの“幅”と“深さ”についてはすでにお話ししました。3つ目は高さ、あるいは、正しい言葉を使うなら“ダイナミックレンジ”です。ダイナミックレンジとはつまり、そのミックスの一番静かな音と一番うるさい音のレシオ(比率)です。

 

ここ数十年の音楽制作では一般的に、マスタリングでコンプレッサーやリミッターを使ってダイナミックレンジを「押し潰す」ことで音を大きくするのが流行りで、その傾向はどんどん強まっています。これは個別のパートと曲全体の両方に言えます。その結果、皆さんもご存じのコンプの掛けすぎが起こります。

 

携帯で昔の名曲を聴いて心地よくなっていたら突然、シャッフルモードで最近の曲が流れてきて耳が吹っ飛ぶほどビックリするなんてこともありますよね。

 

こうしたテクニックは曲を目立たせるのに効果的だと持てはやされた時期もありましたが、あまりに普及し極端化したため逆効果になってしまっているのが現状です。そこで今ではこの流行りを逆戻りさせる運動が進んでいて、私たちもそれを支持している派です。

 

 

10. 完璧すぎる

コンピューターのせいで音楽が完璧になりすぎていると感じるプロデューサーは多く、私たちもこの意見は一理あると考えます。昔と違うことをやりたいとは思いますが、現代のテクノロジーありきのオシャレでキラキラした音楽制作は、同じような曲しか生まずインスピレーションに欠ける結果になることも多いです。

 

もしあなたがピカピカの新品みたいな音楽を目指しているなら、それはそれで構いませんが、もう少し有機的に、土臭く、飾らずありのままに作れば、そこから得られる恩恵もあるのではないでしょうか。素人っぽく聴こえたくないのは分かりますが、時にはわずかな不完全性を許容したり、もっと言えば堂々とあらわにしてみてください。

 

 

元記事 MusicRadar(英語)
https://www.musicradar.com/tuition/tech/10-tell-tale-signs-of-an-amateur-mix-make-yours-pro