[英国BBC] コロナウイルス:クラブやDJがライブ配信へ移行の動き

By ロズ・タッペンデン(BBC South)
2020年4月25日

 

(写真)SARA FLEENOR PHOTOGRAPHY
Lizzie Curious(リジー・キュリアス)は、バーチャルを駆使したフェスやクラブイベントをライブ配信するDJの一人。

  

ナイトクラブが営業を自粛する中、DJはオンラインへ、愛酒家のパーティーは自宅でのウェブチャットへ移行しているが、そこから得られるものは何か?

  

ロックダウンを強いられている人もいる中で、フェスやクラブやDJたちは今もクラブ体験を共有すべくオーディエンスに働きかけている。

  

複数のクラブを所有するDelticグループによれば、同社のFacebookページでは最大35万人が配信を行い、マンチェスターのクラブHacienda(ハシエンダ)によるイースターの募金活動では推定150万回の視聴を誘引した。

 

その他のイベントは控えめで、音楽フェスBestival(ベスティバル)の共同創設者Rob Da Bank(ロブ・ダ・バンク)はイングランドのワイト島の自宅キッチンからインスタグラムで配信を行った。

 

BBC Radio 1のDJでもある同氏は、ドラムンベースのシーンからキャリアをスタートした。同氏は先日、Camp Bestivalによる2日間に渡る音楽&エンターテイメントの放送に出演し、そこでインスタライブにて非公式のDJセットを行うとファンに約束した。

  

(写真)ROB DA BANK
Rob Da Bankはドラムンベースファンに自宅キッチンからのライブ配信を約束した。

 

「みんながコミュニティーの雰囲気を求めてる」Rob Da Bank「オシャレして、それぞれ隔離中の友達と一緒に踊れる場です。この奇妙なウイルスを束の間、忘れられる機会なんです。」

 

「インスタライブでカメラの前でDJしている時の方が、実際に人前でやるよりある意味でやり易さを感じます。“この曲最高”とか、コンスタントにみんなから絵文字やコメントをもらえたりするので。」

 

「実際に人前でDJするのは素晴らしい体験だから、今後一生カメラの前でDJするつもりはないけど、配信だと少し実験的になれます。」

 

 

Lizzie Curious(リジー・キュリアス)は船上で行われる米国のフェスGroove CruseのレジデントDJだ。同氏は通常マイアミかLAを出発し3日間船旅を盛り上げるが、今は大西洋の両側がロックダウン中なので、オーガナイザーはウェスト・サセックス(英国)のワージングにあるキュリアス氏の自宅リビングから明るいハウスチューンのライブ配信を届けた。

  

(写真)LIZZIE CURIOUS / GROOVE CRUISE
配信プラットフォームTwitchを通して自宅で踊る人々の様子を発信したGroove Cruise。

 

「すごく良い経験でした」とLizzie Curious。

 

「計画も楽しみの一つでした。準備期間中に米国で他のイベントに出る予定だったんですが、他のみんなと同じように、その予定も全部一気になくなってしまいました。今は多くの人にとって困難の時期だけど、ライブ配信をやると繋がっている感覚が持ててすごく良いですね。」

 

「とてもポジティブなメッセージのハウスミュージックを選ぶようにしました。少しの間、みんなが全てを忘れられるように。」

 

Groove CruiseのCOVID-19救済基金の資金調達にもなった日曜日のイベントには配信プラットフォームTwitch(ツイッチ)が使われ、画像へのエフェクトやメッセージボードを用いたり、ビデオ会議用プラットフォームであるZoom(ズーム)上でパーティーする人々の様子が発信された。

 

多くのイベントがキャンセルやリスケジュールを余儀なくされ、グッドフライデー(聖金曜日)にロンドンで行われるHospitality Returns to the Docks(以下Hospitality)は、YouTubeやFacebook Liveを使い、DJたちの自宅キッチンやホームスタジオから12時間の音楽配信を行った。

  

(写真)DJ DILEMMA
母の庭のキャビンからHospitality用のライブ配信を行うDilemma。

 

英国ブライトン出身のDJ Dilemma(本名:パイパー・ヒューイットダディング)は、母の裏庭のキャビンにて母親の前で配信を行い、その経験を「ちょっと変な感じ」と語った。

 

しかし、このHospitalityのライブ配信に数千人がログインし、それ以降、数十万回も再生・シェアされている。

  

DJ Dilemma「クラブだと良い曲を流すとお客さんからすぐに大きな反応が返ってきます。でも(配信で)物凄くたくさんのポジティブなコメントが個々の人から一斉に送られてくるのは、クラブで集団的にお客さんから歓声を聞くのと同じくらいアガります。」

 

(上動画:ロックダウン中に週末のライブ配信を行う英国リーズのDJ Dale Castell(デール・カステル)。〈BBC News〉)

 

レコードレーベルのDefected Recordsはロンドンのクラブ Ministry of Soundと協力し、3つのバーチャルフェスティバルを放送している。同イベントは、COVID-19のための世界的募金キャンペーンCovid-19 Solidarity Response Fund の資金調達を目的としている。その他にも計画進行中のイベントは多い。

 

同レーベルオーナーSimon Dunmore(サイモン・ダンモア)は言う。「音楽とクラブは多くの人にとって(自由になるための)逃避だし、社会的な集まりが正当に規制されたので、オンラインで人を繋げたかったんです。みんな独りじゃないんだと気づいてくれたらという想いからです。」

 

マンチェスターのクラブHaciendaは、5月9日に2回目の“House Party”を予定している。4月11日にはロジャー・サンチェスやデヴィッド・モラレスなどのDJを呼んだ丸一日レイヴの初回が行われたが、これはマンチェスターのナイトライフの経済を支援するためのチャリティーイベントだった。

  

(写真)RYAN ARNOLD
ライブ配信により新たなオーディエンスと繋がったと話すRyan Arnold。

 

ナイトクラブチェーンのオペレーターであるDelticグループは、所有クラブのAtikPryzmからFacebook上で配信を行った。クラブに来る人が最寄りの会場の人々と交流できたり、友達と試聴会を作れるようになっている。

 

同配信はPryzmとAtikのFacebookページで週3回発信された。

【Pryzmクラブ所在地:バーミンガム、ブライトン、ポーツマス、ブリストル、カーディフ、キングストン・アポン・テムズ、リーズ、ノッティンガム、プリマス、ワトフォード】

【Atikクラブ所在地:アバディーン、ダートフォード、エディンバラ、グロスター、ハル、アクスブリッジ、レクサム、タムワース、ラムフォード、コルチェスター、ハリファクス、オックスフォード、ウィンザー】

 

そのDJの一人、Ryan Arnold(ライアン・アーノルド)にとってライブ配信が新たな経験となっている。2019年夏のリトル・ミックスやジェス・グリンなどのサポートアクトとの共演後は特にだ。

 

同氏は、ライブ配信をすることでロックダウン中のケント州ダートフォードに居ながらにして自身のオーディエンスの幅が広げられていると話す。また、そのおかげでより多くの人にニューシングル『Imagine』を聴いてもらえる機会が増えることも期待している。

 

Ryan Arnold「曲を流して、誰かが自宅のキッチンで誰の目も気にせずパジャマ姿で踊れるなんて良いアイデアだと思います。」

 

「でもすごく変な感じです〈とカメラ目線〉。お客さんの前で僕自身が盛り上がっちゃって“みんな手上げろ〜!”って言っても、部屋には僕しかいないので。」

 

「あと、僕は DJしてる時にその曲を歌う癖があるんですけど、普段は大音量なので自分で気づきません。ありがたいことに自宅配信だと他の人には聞こえませんけどね。」

 

(写真)NATHAN DAWE / REECE EVANS EV PRO
イビザ島(右)とザキントス島でプレイするNathan Dawe。

 

UKシングルチャートで上昇中の曲『Flowers』でお馴染みのNathan Dawe(ネイサン・ドウ)は、通常ならギリシャのイビザ島やザキントス島の主要フェスやクラブなどでプレイしているはずだったが、現在はスタッフォードシャーのバートン・アポン・トレントにある自身のロックダウン場所から配信を行っている。

 

Nathan Dawe「ライブ配信は初めてでした。1万人の前でやるより初回の配信の方が緊張してましたよ。」

 

同氏は自身のシングル曲の成功を「bitter sweet(嬉しくも悲しくもある)」と表現し、こう加えた。「ステージに戻ってみんながこの曲を歌い返すのを聞きたいです。」

 

「僕は人生でずっと、トップ40位に入るレコードを作ることを夢見てきました。この曲はロックダウンになる前も好調だったけど(ロックダウン後に)急上昇し始めたんです。」

 

「たくさんの人が音楽アプリを使ってインドアでこの曲を再生してくれてるけど、パフォーマーとしては早くステージに戻って、この曲を掛けた時にみんなが大声で叫ぶのを聞きたくてウズウズしてます。」

 

 

元記事 BBC News(英語)
https://www.bbc.com/news/uk-england-52351790