音楽企業 Sofar Soundsがアーティストに中止ライブの報酬を支払う

「私たちの目下の焦点はアーティストの支援方法の模索と、観客やアーティスト同士がつながれる場の拡大です」と、コンサートステージング企業Sofar SoundsのCEOはローリングストーン誌に話す。

 

2020年3月25日
By サマンサ・ヒソン

 

WeWorkのオフィスで行われた同社のライブ
(写真)Mark Cartier

  

3月上旬、年間400都市で約1万件の小規模コンサートを手配するスタートアップ企業Sofar Soundsは、コロナのパンデミックで全公演を一時中止せざるを得なくなった。その決断は即座に6大陸2千人を超えるアーティストに影響を与えた。同社は現在、ライブでアーティストがもらうはずだった報酬を彼らに支払う計画を進めている。

 

水曜日午前、同社は中止となったライブの報酬をアーティストに支払いリスケジュールを行うとともに、25万ドルを目標としたGlobal Artist Fund(世界アーティスト基金)を導入し、ライブ音楽の救済支援金を約束する多くの音楽企業の一社となった。また、“listening room”なるものをオンラインで開始することも明らかにしている。ライブ配信でパフォーマンスや動画のプレミアを行ったり、世界中のミュージシャンと会話できたり、コミュニティーのミュージシャンのための世界規模と地域規模のリソースディレクトリも作成予定だ。今後数週間、同社のアーティストらはオンラインミーティングやウェブセミナー、バークリー音楽大学の教育セッションの受講などが見込める。これらはアーティストらが待ち望んでいたコミュニティーという感覚の提供を目指したものだ。

 

「私たちの目下の焦点はアーティストの支援方法の模索と、観客やアーティスト同士がつながれる場の拡大です。」ライブのチケット代で収益が得られない現在、この新企画の収益化について聞くと同社CEOのジム・ルケーシー氏はそう答えた。

 

過去には自社のビジネスモデルが火種となり論争を生んだSofar Sounds。投資家から多額の資金を得ている一方でアーティストに支払う金額が低いという反対派の意見もあるが、コロナで比類なく大打撃を受けている“ある人々”に恩恵を与えている。駆け出しのアーティストたちだ。同社から出演料として100〜150ドルが支払われるこれらの新人アーティストを勢力的に活動する自主レーベルアーティストと混同してはならない。彼らの多くがキャリアをスタートしたばかりで、未熟で名前を知られていない。コロナの暗雲が立ち込める中で、コンサートの中止は“ニューノーマル(新たな常態・常識)”となった。コーチェラやSXSWなどのイベントからパール・ジャムやマドンナやBTSといったアーティストまで例外はないが、プロとは違い、駆け出しのアーティストには頼る人がいない。

 

パンデミックがない通常時なら、Sofar Soundsは新人が新しいことを始めたりステージスキルの向上をしたり、“公式”ライブの宣伝をするチャンスを与えている。観客数が少ないライブを取り扱うつもりの商業用会場は少ないからだ。(Sofar Soundsのイベントの観客収容人数は大抵60~100人で、オフィスやギャラリーなど変則的な場所で行われる。)また、同社は客入りに関しても責任を持つため、「我が子をガラガラの会場で演奏させまい」とライブ会場に現れる自分の母親の読書会で演奏しなくても済むのだ。三幕構成のプログラムと“心が入り込める音楽体験”の提供が好評で、アーティスト自身も互いを発掘しあいネットワークを広げている。

 

「コミュニティー感が生まれています。私たちが作り上げたこの音楽空間だけでなく、オンライン教育や支援プログラムでも、教育的なものから法律的なものまで着々とした流れでアーティストを繋ぐことができています」とルケーシー氏。「他のミュージシャンと話たり、他のアーティストから話を聞くだけでもそうです。今は以前のやり方ができない状況なので、別の様々な方法でこのコミュニティーの絆を強めることがこのプロジェクトの主旨です。」

 

ルケーシー氏はSpotifyのCreatorプログラムを開設した人物で、一年前にSofar Soundsに来た。自身もミュージシャンであり次のライブは木曜日の夜に決まっていたが、コロナ危機で中止せざるを得なかった。「ここ(Sofar社)で働く75%の人がミュージシャンです」と同氏。

 

「このプラットフォームは10年かけてミュージシャンによってミュージシャンのために作り上げられてきました。ここ数ヶ月で私たちがしていることを見れば、チーム作りから数ヶ月前にローンチした“アーティストダッシュボード”やリソースまで、今までやってきたことの継続だとわかるでしょう。」

 

水曜日に発表したばかりのプロジェクトなど、新しい諸機能がまとめられているが、これらは同社のアーティストを基盤とすることが念頭に置かれており、単に1日や1週間だけのものではないと話すルケーシー氏。「私たちはSofar社が存続する限り、この作業を続けていくつもりです。」

 

元記事 Rolling Stone(英語)
https://www.rollingstone.com/music/music-news/sofar-sounds-canceled-concerts-coronavirus-972411/