コリー・ウォン:アーティストをプロデュースするときの5大原則|Cory Wong

By ベン・ロジャーソン
2020年5月20日

軽快な手捌きのギターヒーローがフィービー・カティスの新アルバムを手掛ける

 

コリー・ウォン (写真:Galen Higgins)

 

 

コリー・ウォンこそが音楽の世界において一番のハードワーカーだと言いたいわけではないが、そのような役職があるとすれば本人も名乗りをあげるだろう。

 

過去数年で自らのアルバムを数枚リリースしているだけでなく、Vulfpeck(ヴォルフペック)とも広くツアーを行い、パフォーマンスやレコーディングにも参加している。また、数多くのアーティストの楽曲にもゲスト出演する。

 

それだけでなく、21世紀のリズムプレイヤーとは何たるやを再定義するほどの軽快な手捌きを見せるミネアポリス拠点のコリー・ウォンは、自身だけでなく他のアーティストも手掛けるプロデューサーだ。

 

今週、コリープロデュースによるUKシンガーソングライターPhoebe Katis(フィービー・カティス)の『It’s Ok To Cry』がリリースされる。彼女はこれまでに幾度かコリーの楽曲にゲスト出演しており、3年以上ツアーを共にしていた。二人のアーティスト関係が良好なのは明らかだが、我々はコリーが“アーティスト兼プロデューサー”として成り立つまでにどのような変化があったのか話を聞くことにした。

  

「フィービーのアルバム制作はすごく楽しかった。事前に遠隔でプリプロデュースを結構やってたから」とコリー。「スタジオに入る前段階で、曲のアレンジをしたり、求めてるものに関して割と確立したアイデアや計画があったんだけど、その場で生まれるクリエイティブなエネルギーも大事にしたいから完全には決めないでおいたよ。」

 

 

フィービー・カティス『It’s Ok To Cry』(写真:Phoebe Katis)

 

「フィービーにとって大事なことの一つが、レコーディング部屋で感じられる生き生きとした感じだったから動画に収めることにした。部分やアイデアを探ってる場合は簡単なことじゃないけど、意図や強いコンセプトがあったからすごく気持ちよく演奏できた。」

 

「フィービーのアルバムにはポップとバラードの2タイプの曲がある。それぞれの独自性を大事にしたかったけど、それと同時に一枚のアルバムとして互いがフィットすることにも気をつけたよ。もちろんフィービーの声とサウンドが各曲で際立つようにしたけど、アレンジでもこだわってそれが上手く合わさるように心掛けた。」

 

 

コリー・ウォンがアーティストをプロデュースするときの大原則とは?

 

「ここで話すコツ(下記)は僕のお気に入りのことなんだけど、根本的で、ある意味、制作の基礎編だと思う。このアルバムに携わったミュージシャンたちはみんなセッションのベテランだったから、このコツを忘れないようにする事以外はそんなに大変じゃなかった。」

 

「プロデューサーとしての自分の力量もそうだけど、チームとしてミュージシャンやエンジニアが同じ理解やビジョンを持っていて、今そこにある仕事に集中することがものすごく大事なんだ。フィービーのような素晴らしいアーティストと僕らの周りに集まってくれたチームとこのアルバムを作れて本当に光栄だよ。」

 

 

コリー・ウォンプロデュース5大原則

 

1. 全体を考える

 

「それぞれのパートが上手く合わさり焦点がブレていないかどうか。ボーカルがいるアルバムなら、どんな楽器もボーカルをサポートし補う演奏にする必要がある。ボーカルの価値を下げるものがあってはならないんだ。」

 

「インスト音楽の場合、インストだからって焦点となる楽器の後ろでただジャムしてればいいってことにはならない。リードボーカルと同じでリード楽器に焦点を当てるべきだ。」

 

 

2. 常にそのアーティストをサポートし考える

 

「そのアルバム全体で各曲、各パートがフィットすることを考え、そのアルバムが彼らのキャリアに合うかどうか、彼らがどういう活動をしてきてどこに向かっているのかを考慮すること。考えて迷宮入りするんじゃなくて、その瞬間に正しいと思うことをしつつ過去と未来も意識する。」

 

 

 

3. ニュアンスに気を配る

  

「サビの終わりは4の“&”まで音が行き届いてるか、全員がそれをできているか、それを軽視してる人はいないか?ギターとキーボードの間でボイシングがぶつかり合ってないか?低音域を鳴らす人が多すぎてローエンドがこもっていないか?」

 

「大抵は昼夜問わず長時間の作業だから、精神的にも身体的にも疲れてきて、曲ごとのチューニングを怠ったり、リズムの正確さに疎くなったりする。誠実さを失わせないことだ。」

 

 

4. 他を参考にしまくる

 

「プロデュースしてるアーティストがすごく好きな特定のアルバムは何か?その人が聴いてピンと来たり笑顔になるものに注目する。何でもいいんだ、グルーヴ、音、奏法、ハーモニー、面白いコード進行、ユニゾンとか。」

 

「ミキシングの段階については、諦めないこと。まだ仕事は終わってないよ!そのアーティストと一緒に通しで聴いて全曲を批評していくことで意図していた全ての部分がちゃんと聞こえるか確かめるんだ。他の曲と聴き比べて、平均的な曲よりローエンドが強いとか、ボーカルやリード楽器がその曲の中で馴染んでるかをチェックする。」

 

 

5. 誰のアルバムかを忘れないこと

 

「覚えておくべきは、最終的には自分がそのアーティストに雇われて仕事をしているということ。特別なスキルセットやテイストがあるから雇われているんだ。出来上がったアルバムは当然そのアーティストのサウンドになってるはずだけど、自分のテイストや選択が大いに影響してる。でもそのアルバムは自分じゃなく彼らのアルバムだから、彼らの役に立つことだね。」

 

 

元記事 Music Radar(英語)
https://www.musicradar.com/news/cory-wongs-5-golden-rules-for-producing-for-other-artists