ビアトリス・ディロン「ギアをマスターするより、自分が何をしてるか分かってない方がいい気がする」|Beatrice Dillon

 

By Future Music
2020年6月20日

 

UKプロデューサー、ビアトリス・ディロンがエレクトロニックミュージックの傑作アルバム制作裏を話す。

 

ビアトリス・ディロンのスタジオ(写真:Future)

 

ベース、ハウス、エクスペリメンタルの間を探究するビアトリス・ディロンが、制作への独特なアプローチについて話す。

 

レコード屋で働いていた頃にUKのクラブ音楽に影響された彼女は、有機的なものと人工的なものの融合を自身のスタイルとした野心的なDJ/プロデューサーで、音に新しい形を与える作曲方法で数多くのサウンドアートの依頼を受ける。

 


 

「サンプリングの仕組みが分かってしまえば、ん~、たぶん私は楽器を弾く必要はない。他のものが見えるようになるの。」

  

英国NTSラジオでDJを務めていたディロンは、現在はロンドンにあるサマセットハウス・スタジオのレジデントとなっており、小さいスペースで無駄を省いた自身のスタジオからは想像しがたい複雑性を持ったソロデビューLP『Workaround』をリリースした。今年のエクスペリメンタル・エレクトロニックの最優秀アルバム候補で、アコースティックのサンプルとグルーヴ感のあるモジュラー音の再配置という独創的な掛け合わせからディロンの独自性がうかがえるアルバムだ。

 

 

ヴィジュアルアートの経歴が自分の音楽制作を特徴づけてる?

 

アートやサウンドデザイン、映画への好奇心があるという意味では、間違いなくそう。以前に、アートの学校に行くのは時間のムダだと言ったけど、大学を軽視してるわけじゃない。ほとんどの人が、アートの学校に行くと一日中人体デッサンをやってると思ってるけど、アートは昔の伝統手法に根差してないから大学ではテクニックよりも考え方や歴史やコンセプトを学べるの。私にはそれがすごく楽しかったけど、奨学金に値するかは疑問かな。」

 

 

BBCラジオ3の研究者としての経歴があるね。

 

「別のラジオでインターンとして始めて、ラジオ3向けにジャズやワールドミュージックを作る制作会社でも働いた。無給だったけど、しばらく続けれていれば仕事も得られるものね。

 

 

きみの音楽制作では、サンプリングが強い原則になっているようだけど…

 

ヤマハのSU10を買うために貯金したのを覚えてる。まだ10代の頃で、それをレコードプレイヤーにつないでみたけど何だかよく分からないし、それで生計を立ててる人が大勢いるなんて思いもしなかった。ただ、曲ごとの好きな部分を一緒にループするのに良いと思っただけで。」

 

 

ビアトリス・ディロンのスタジオ(写真:Future)

 

サンプラーを買おうと思ったキッカケは?

 

「かなり稀な選択だし、ちょっと例外的だった。当時の私は音楽ソフトが何か分ってなかったけど、サンプリングの仕組みが分かってしまえば、ん~、たぶん私は楽器を弾く必要はない。他のものが見えるようになるの。」

 

「DJ Shadowのアルバム『エンドトロデューシング』が大好きで…音のコラージュとして最高傑作だと思った。バンドとして部屋に人が集まってやるのとは反対に、集めたレコードから自分のレコードを作る人がいると知ったわ。

 

 

アルバム『Workaround(ワークアラウンド)』はすごくプログレッシブだけど、サウンドデザインへの新しいアプローチがある?

 

きっちりとギアの使い方を学ぶことはしないかな、我慢強くもないし。飽きて次の物を使い始めるまではそのギアと向き合う。でもコンピューターの使い方を知ると音楽が本当に自由になるのね、それまでは自分が何をしてるのか分かってなかったから。」

 

「その観点からすれば、一つのギアをマスターするより、自分が何をしてるか分かってない方がいい気がする。私がクラシック音楽の訓練を受けてたなんて噂もあるけど、ないわ。テクニックで打ち込みを作るのでも没頭することはできる。プログレっぽいサウンドなら、Hyperdub(ハイパーダブ:ロンドンのレーベル)がすごく未来志向だけど、私には目新しいサウンドを作りたい衝動はなくて、ただ自分にとって新しく聞こえないと嫌なの。

 

 

ビアトリス・ディロンのスタジオ(写真:Future)

 

ビアトリス・ディロンのスタジオ(写真:Future)

 

ビアトリス・ディロンのスタジオ(写真:Future)

 

ビアトリス・ディロンのスタジオ(写真:Future)

 

 

サウンドデザインの分野で影響を受けたアーティストは?

  

プロデューサーとしてはMark Fell(マーク・フェル)にすごく興味がある。彼の、自分にとって面白いサウンドの音楽を作ることへの視点がすごく興味深いし、その音楽がクラブやアートギャラリーにピッタリ合ってなくても本人は気にしてない。もちろん彼がクラブミュージックをいっぱい聴いてきたことは音からハッキリ感じられるし、どうやったら皆を躍らせ続けられるかを構造的に理解してるけど、彼は彼なりの考え方を持っていて、私はそれにいつも刺激を受ける。」

 

  

特定のジャンル向けの音楽を作らないのは自由ではあるけど、かなり勇気がいるよね?

 

そうね、あるいは、うぶとも言える。だって食べていかなきゃいけないから(笑)でも生計のために変わったものを作るわけでも、実験的な音楽を作ってると大っぴらに言いたいわけでもない例えば、私がある特定のタイプのテクノを作り始めたらちょっとウソっぽくなると思う。私はテクノの表現を真には知らないから。そうじゃなくて、自分が影響を受けたすべての変なものを寄せ集めたらどうなるかを探ろうとしてるの。」

 

 

『Workaround』にピッタリの環境は?

 

合うのがあるとすればクラブミュージック。クラブミュージックにはそれぞれ変なことをやってるプロデューサーが常にいる。そのシーンの好きな部分を持ってきてミニマルや実験的なアプローチに応用してみたり。ここ10年間、イギリスやヨーロッパでは多くのアーティストがそうやってプレイしてて、キックドラムやタイミングを材料に変わったことをやってる。」

 

「Lee Gamble(リー・ギャンブル)の音楽には私のツボがいっぱいある。彼はジャングルの分野で独創性を発揮してた、それも奇妙な感じのね。」

 

 

今回のアルバムには雰囲気だけじゃなく音にある種の一貫性を感じる。音の選択肢を意図的に制限した?

 

「まさにその通り。パソコンを起動して最初の10分はやる気に満ちてるけど、それから選択肢の多さに迷って壁にぶち当たる。何でもできるって大変なことで、頭痛がしてくるでしょ。私は大抵3つに絞る…先に進むための制約なら何でもいいんだけど。そして選んだその要素に十分慣れてきたら、要素を重ねるというよりはその要素を使ってもっと何かしてみようと思うの。私は少ない要素で色んなことをする人たちが好き。」

  

「パソコンを起動して最初の10分はやる気に満ちてるけど、それから選択肢の多さに迷って壁にぶち当たる。」

 

 

ソフトでやるときもそれを適用する?

 

私はロジックを使ってて、経験から熟知してるサンプルバンクが入ったテンプレートのセットを持ってる。私はいつもロジックなんだけど、主な理由は最初に使ったソフトだったから。」

 

「ライブではエイブルトンを使ってるんだけど、もっと上手く使えるようになりたい。特にアレンジに関しては、エイブルトンが上手くなればもっと色々できそうなのは分かるから。」

 

 

(DAW上の)グリッドに合わせてるのに、すごく流動的なサウンドだよね

 

「時々、ロジックを使ってなければ良かったと思うことがある。ロジックだとグリッド感が強いから。【注:Logic Pro X 10.5の発売前の話。】Max/MSPというソフトを使いたい。ノンリニア編集ができて、小節をそこそこ意識するものから抜け出して曲を作れるから。音楽の違った聴き方を教えてくれるソフトで、私も勉強中なんだけど今はそれにそんなに時間が取れない。」

 

 

前進するには新しいテクノロジーを学ぶことが必須?

 

「そうね、何かができないからこそ垣根を取っ払うテクニックが生まれたりするでしょ。そういうつもりでいればドラムマシン一つでだって素晴らしいものは作れる。」

 

「電子楽器の制約を感じつつもクリエイティブな人はいっぱいいる。Lee Perry(リー・ペリー)が分かりやすい例で、彼はスプリングリバーブとボーカルとドラムマシン一つで、すごくカッコイイ音楽を作れる。」

 

 

音楽制作を始めようとする人はその原理に従うと良い?

 

「ギアを買うのは確かに楽しいし、買い集める人のことを批判するつもりはない。お金があれば買わない手はないわ。でもそればっかりになりがちでもある。それよりも、自分が発信したい表現を実現していくべきで、eBayで一日中ギアを探してるのは違うんじゃないかな、その気持ちも分かるけどね。

 

 

 

『Workaround』というタイトルは、自らに課した制約と関連があるようだけど?

 

そう、それに気づいたのはあなたが初めて。このアルバムの制作プロセスと同じくらい分かりにくいでしょ。」

 

 

ビートはややアフロ・カリビアンっぽさを感じるけど、そっち系の楽器をサンプリングした?

 

Mutable Instruments(ミュータブル・インストゥルメンツ)のClouds(クラウズ)というモジュールの音を沢山サンプリングしてる。ほとんどの人がグラニュラーシンセシス用に使ってると思うけど、誰かがダウンロード式のファームウェアを作ってそれを通してリプレイできるようになったから、リゾネーターとして使えるようになった。」

  

信号を送受信してると、リゾネートした変な感じのリピッチ音ができる。そこで気づいたのが、ドラムのパターンを送ったらメロディーができてそこから色々動かせるかもということ。方法を探ってるときはすごく楽しかった。このアルバムで明確にドラムサンプルだと分からないものがあるとしたら、それはCloudsからリゾネートしてピッチ変更されたサンプルをパーカッションに使ってるものね。エフェクトを利用して自分だけのサンプルパックを作ったの。」

 

 

音をサンプルするために多くの人とコラボしてるね

 

「このアルバムでは沢山の人とコラボしてるけど、一つの部屋に集まってミュージシャンに囲まれる必要がないという意味では完全にフィクションね。基本的には2つのデモをbpm150で作って、みんなに色々いじってもらう。みんなから素材を足してもらったら伴奏トラックを消して、それから沢山の素材を切り刻んで新しい音楽を作っていった。

 

「このアルバムではみんなで一斉に演奏したかのように聞こえる部分があるかもしれないけど、そうじゃない。これもコラージュの話で、エレクトロニックミュージックがくれた全てを再編成できる自由があるからこそできるの。」

 

 

その音々をアコースティックのままにするか、それとも、もっと面白い何かに発展させたかった?

 

たぶん、色んなものを変なふうに繋げたかっただけ。それが最悪になるかもしれないし、面白くなるかもしれない。」

 

「10、11歳くらいのときに聴いたBBCラジオ2で、Motown(モータウン)のとあるヒット曲がどう作られたかを話してた。誰かがその曲の構成要素について隈なく話してくれるなんて凄いことだと思った。一曲の構成が段階的に説明されてて、自分にもできる気がして想像力が膨らんだわ。私は自分が音楽制作と同じくらいレコードの作られ方に興味があるんだと思う。」

 

 

アルバム内の電子音やサンプルには、とても繊細にシンコペーションが用いられているね。

 

パソコンで音楽を作ってると音的に多くの障害がある。リアルタイムに楽器が弾けてそれに没頭できれば最高だろうなと思うこともあるけど、私の学び方はその逆だった。だからそう、出来上がる音楽はかなり慎重にアレンジされてる。このジグソーパズルが一枚の滑らかな絵になればいいなと思う、数学の授業じゃなくてね(笑)」

 

 

メロディーは従来のシンセラインではなく、パーカッション的なところから来てる?

 

私はリズムとベースラインと、その周りにあるテクスチャーに執着してる。もしお金があったら、シンセじゃなくてドラムマシンを買うわ。このアルバムにはそれがよく現れていると思う。」

 

「このアルバムをライブでやるときは、アコースティック要素は全て取り除いて、代わりにシンセを使うから全く別物になる。リズムを前面に出した、クラブだからこその周波数域のサウンドシステム用に作られた圧縮版って感じね。」

 

 

ハードウェアをツアーに持っていくことも?

 

「ライブではスタジオのギアは使わない。ノートパソコンでライブもアレンジも処理もやるわ。いずれはスタジオにあるシーケンサーをステージ上で使いたいけど、それをやるにはまず曲を書かくか、少なくともアイデアをまとめないと。」

 

  

さっき、このアルバムは全体を通してbpmを150に固定したと言っていたね。

  

「何曲かは、数年前にストレスが溜まってたときに作ったもの。4拍子の音楽を作ると大抵は空気感と感情が生まれるけど、キックを変な所に入れてベタなビートをくずして遊ぶと、曲を前進させるものがないから結構ゆっくりに聞こえる気がする。ハウスミュージックは一般的にbpmが120〜125、ジャングルはだいたい170だけど、150だと遅さや速さの感覚にかなり自由度が出る。」

  

 

きみのモジュラーセットは控えめだけど…

 

モジュラーシンセに関しては、過度になり過ぎたり、沢山持ってたほうが良いアイデアが生まれるなんて考えは嫌ね。そんなことないと思うから。私が買ったのはGrids(グリッズ)のモジュール2つとCloudsで、このアルバムでも至る所で使ってる。反論する人もいるだろうけど、パソコンがあれば全てのことができる。でもパソコンから離れて手を使ってやるのはすごく楽しいと思ったわ。このVermona(ヴァーモナ)のモジュールはジャンクションボックス/オーディオインターフェースで、モジュラーラックをパソコンにシンクできる。」

 

 

ビアトリス・ディロンのスタジオ(写真:Future)

  

ビアトリス・ディロンのスタジオ(写真:Future)

 

 

Gridsを使って得られるものは?

 

「Gridsはシーケンサーだけど、私が持ってるローランドTR-26ステップシーケンサーやそれ系のドラムマシンみたいな常に16ステップのリズムを考えるタイプのものとは全然違ったアプローチになる。」

 

「自分用に視覚的にレイアウトされたリニアシーケンサーではなくて、単に録音されたドラムリズムのバンクなの。XY軸上で一つのリズムから別のリズムへ逸れることができる。つまりリズムのバイアス、アクセント、スウィングをシフトしてるわけ。

 

「3つのノブがあるから、それがキック、スネア、ハイハットだとしたら、基本的にはノブを回して密度を調整し、ドラムマシンに送信できる。その3つのノブで出せるハーモニックな変動量は0〜250bpmだからすごい量のリズム区間が得られて、それで遊ぶとすごく楽しい。」

 

 

GridsでNord Drum 2をトリガーしてる?

 

「GridsシーケンサーからNord Drum 2にトリガー信号を送信する。Nord Drum 2はパーカッシブな音を作るのにすごく良いデジタルFMシンセで、冷たくてメタリックなサウンドから808みたいなビートまで全て揃ってる。ドラムパターンを思いつく一つの手段であり、Nord Drum 2の中に音を形作るパラメーターが限りなく存在してるの。両方ともそのうちライブで使うつもり。」

 

 

ビアトリス・ディロンのスタジオ(写真:Future)

 

 

リズムベースのモジュールZularic Repetitor(ズラリック・レペティトア)も持ってるね。

 

「ZularicはGridsと似たような原理のシーケンサーで、豊富なドラムパターンが入ってるパネルの裏にブレインがある。ここでもパターン間を逸れるのにノブが役立つけど、Gridsが西洋によくあるドラムパターンの宝庫だとしたら、Zularicはアフリカやインド系のポリリズムを使って予めプログラムされたパターンが多い。」

 

「私はこういったモジュラーの複雑な部分まで理解してるわけじゃなくて、自分のやり方を編み出してきただけ。リアルタイムでシーケンスするのはすごくワクワクするから、このシーケンサーたちを使ってライブしたい。」

 

 

でもちょっと怖くない?

 

怖いわ。毎日違ったようになるだろうし、全てがコントロール可能なパソコンとは真逆だからこのシーケンサーたちを使うってかなりワイルドだし先が読めない。だからみんながハマるのかも。ライブだったら厳密なパラメーターにしないといけないと思うし、私の音楽の作り方からして、このアルバムを象徴するものにはならないでしょうね。このアルバムは頭の中で即興して作ったわけじゃないから。ライブでこのシーケンサーたちを使うなら、別のプロジェクトにしないと。」

 

 

Vermona DRM-1モジュラーも加わって、ドラムに必要なひねりは完璧のようだけど?

 

DRM-1はすごく良いドラム音源。6つか、それ以上のトリガーインプットがあって、各列が一つの楽器になってる。例えば最上列はキックで、その音を形成するパラメーターが揃ってるの。このドラムマシンだけでライブ全体にあらゆる変化がつけられるわ。」

 

 

ビアトリス・ディロンのスタジオ(写真:Future)

 

 

みんなの創造性を引き出すために、このマシンたちをもっと掘り下げてみよう

 

このテクノロジーで面白いのは、自分のやってることが半分分かりつつ、あと半分はその機材がアイデアを形作ってくれるところ。Mark Fell(マーク・フェル)がよく話してるわ、アイデアがあってやりたいこともハッキリしてると言う人は多いけど、そうでもないって。だってどんな音になるかアイデアはあっても、そのマシンとのコラボレーションの中で進んでいくものから。」

 

 

今回の音楽はソフトでも完結できると言ったけど、モジュラーセットを使ったらポストプロダクションは減る?

 

それは本当にテイストによると思う。私はレコードやCDが好きだし、それぞれに独特のクオリティーがある。というか、もしかしたら私が音についてよく知らなくて、その2つの違いやどっちが優れてるかなんて決められないだけかも。もちろん中には自分のやってることがよく分かってて、その2つの違いを測定できる人もいるだろうし、私も自分の判断より彼らの判断を信じると思うけど、私はオーディオマニアじゃないの。

 

音には慎重になるけど、自分に課せられた制約の範囲内で出来ることをやる。だってノートパソコンで音楽を聴くなら、意味がなくなることだってあるから。私自身、Villalobos(ヴィラロボス)の曲をノートパソコンで聞いてたときにバカらしいと思ったわ。彼の伝えたいことが台無しだったから。自分が念入りに作った音から聴き手が何を受け取るかは分からないわね。でもBeatsのヘッドフォンで超低音が効いた音楽を聴きながら歩いてる人たちもいるしね。」

 

 

「自分が発信したい表現を実現していくべきで、eBayで一日中ギアを探してるのは違うんじゃないかな。」

 

 

DAWに何かソフトのプラグインを使ってる?

 

Chromaphone(クロマフォン)は面白いプラグインで、物理モデリングのシンセシスに基づいてる。私はドラム音を作るのに使ってるわ。」

 

「ピアノを録音するときにどこの角度からも録音できれば全てを網羅したサンプルパックを作れる。でも各音は固定されているの、形を作れはしても。私の理解としては、物理モデリングシンセシスは3次元の物の物性をそっくりそのまま模倣することができるということ。

 

例えば、あるグラスの寸法と材質をプログラムして一つの楽器に作り上げることもできる。音が共鳴するチャンバーをデザインするようなもので、しかも一つの音にフィルターかリバーブを掛けるくらいしかできないサンプルライブラリに比べて、サウンドデザインの選択肢は無限大なの。Chromaphoneを使えばハープやピアノの音を再作成することもできるんだけど、じゃあ本物を使えばって?Chromaphoneだと極端にやれるし使っていて全然飽きないの。」

 

「その他にも、Native Instruments(ネイティブ・インストゥルメンツ)のPrism(プリズム)とBattery(バッテリー)というソフトを使ってて、最近ではReaktor(リアクター)やRazor(レイザー)も使おうか考えてる。」

きみは「コンピューターには勝てっこない」と言ったとされてるけど、なぜそう言ったの?

 

「電子とアコースティック両方の楽器でレコードを作りたいと思ったとき、ちょっと陳腐に聞こえるかなと思った。交響的なものに脱線したくなかった。エレクトロニックミュージックをゲストコンポーネントを使って作りたかった。コンピューターのドライで冷静で硬い感じが大好き。コンピューターには勝てっこないと言ったのは、自分自身にアコースティックに脱線するなと言いたかったから。今取り組んでるのは『Workaround』とは全く違う形をしてて全部ソロ。コラボはなしで、私とこの部屋だけよ。」 

 

 

元記事 Music Radar(英語)
https://www.musicradar.com/news/beatrice-dillon-i-feel-that-not-knowing-what-youre-doing-is-better-than-mastering-a-piece-of-gear