アートな映像美が話題!アジア系アメリカ人女性ラッパー、Audrey Nuna(オードリー・ヌナ)

Audrey Nuna(オードリー・ヌナ)インタビュー

2020年10月1日
By ミゲル・コスタ

 

オードリー・ヌナ(写真:Ashley Chu/ press)

  

オードリー・ヌナのミュージックビデオは、超現実主義的なものが多い。絵のような美しさを感じさせる『Paper』や『Time』のミュージックビデオからは、彼女の音楽性や曲作りにおけるカラフルなイマジネーションがうかがえる。

 

若干21歳のR&Bシンガーのオードリーは、2019年にアリスタ・レコードと契約して以来、瞬く間にブログ界隈を席巻する話題の存在となった。アジア系アメリカ人ソウルシンガーとしてだけでなく、大学を中退してラッパーになることを選んだアーティストのうちの1人だ(カニエ・ウェストやJ・コール同様)。『Comic Sans』(ジャック・ハーロウとコラボしたシングル曲)の成功により今のところ大学中退の正当性が認められるが、このNY出身のルーキーのキャリアがどんな方向へ展開するかはまだ未知数だ

 

オードリー・ヌナがアメリカのメインストリームで有名人になるか、アンダーグラウンドシーンでカルト的な人気を誇るニッチなアーティストに成長するかを知るにはもう少し時間がかかるだろう。それを知るためにもまずはデビューアルバムがリリースされなければ話にならないが、そのリリースも近いとオードリーは言う。

 

彼女は現時点で、vibey(バイヴィー【いい感じ】)なR&Bサウンドが魅力の新進気鋭のアーティスト、”オードリー”としての活動を楽しんでいる。世界中の音楽好きとジャーナリストの好奇心をくすぐり続ける彼女が今回、私たちに舞台裏を見せてくれた。ミュージックビデオを作る際の創作プロセスについて掘り下げて話し、既成概念にとらわれない彼女の考え方に刺激を与えるものを紹介する。

  

 

AUDREY NUNA – damn Right

 

 

—君は現在21歳で、音楽のためにニューヨーク大学を中退してなかったら大学2、3年生だったよね。R&Bやヒップホップアーティストになってなかったら、今頃何をしてたと思う?

 

世界史とか美術史とか、つまんないことを勉強してたと思う。語学も好きだからイタリア語を副専攻してたかも。“学習”がしたいから学習を続けてたんじゃないかな、学ぶのが好きだから。

  

  

—家族のみんなは、君がR&Bやヒップホップ音楽を作って生計を立てたいと思ってることを知ったとき、どんな反応だった?女性レコーディングアーティストとしてこれはやる/やらないと決めたことはある?

 

お父さんには学位の取得を約束した(笑)。でもその約束を守れるかどうかは正直分からない…お母さんに関しては、ヌードだけはやるなって言われた。「それだけは絶対ダメ!」って感じだったから「うん、やるつもりもなかったよ」って。

 

  

—独特だなと思ったのは、ミュージックビデオに関してファンを魅了する手段があくまで芸術的で、異国風の衣装を来たりしてるけどそれもとても保守的だよね。性的なアピールを重視しないことを大切にしてるのはどうして?

 

私は女性ラッパーが性を強みにしてるのってカッコイイと思う。でも私が作り出すものはすべて私自身を反映してて、それがただ性的じゃないってだけなの。性的魅力が強い人ならそうすればいい。それってカッコイイと思うから。ただ私は性的魅力を売りにできるタイプじゃなかったの。

 

 

—じゃあ君がCardi Bの『WAP』みたいなミュージックビデオを作ることはこの先もない?

 

(笑)それまだ見てないんだけど、みんながそのMVの話してくる。でもノーかな、そういうのを作りたい衝動は一切ない。

 

 

—君は音楽ファンとして育って、パフォーマーになる前に人生観が変わるようなコンサートを体験したことはあった?

 

大学一年生の時にDurant Jones & The Indicationsのコンサートに行ったんだけど、今のところ一番よかったライブね。立って聴いてるだけでハイになっちゃった、何もやってなかった(シラフだった)のに!ビール一杯くらいは飲んでたかもしれないけど。終わったあとはすごくハイになってた。刺激的な瞬間だったな、これぞ音楽の力って感じ。そのとき改めて感じたの、「これは音楽でしか味わえない」って。それがずっと自分の中にあって、私もそういう音楽を作りたいって思ってる。音楽第一でやってれば、あとのことはうまく収まるかなって。

 

 

—『Damn Right』のMVが公開されたね。ノスタルジックで80年代のNYヒップホップを思わせる雰囲気がある。スタイル的に言えば、シネマトグラフィーはミッシー・エリオットの初期の作品に似てると思う。このMVに最も影響を与えた人や要素は?

 

そう言ってもらえてすごく嬉しい。私ミッシー・エリオットのMV大好きだから。彼女がハイプ・ウィリアムスと作ったやつは全部好きで影響を受けてる。この曲はできるだけバカバカしい感じにしたかった、くだらないことを話てる人たちを風刺するようなね。友達から(音楽ディレクター、ロリス・ラッシャー)、バービー人形でいっぱいの湯船に私の顔が浮かんでるイメージ画が送られてきて、じゃあ全部その雰囲気に合わせていこうってなったの。

  

  

 

 

—オードリー・ヌナのMVを見てるとアートフィルムを見てるみたいな感覚になる。『Party』はヴィジュアル的にとても面白い作品だよね。他のアーティストのMVを見て、「うわ、私もこんなの思いつきたかったな」って思ったことは?

 

もちろんある。私の好きな作品の一つがチャイルディッシュ・ガンビーノの『Sober』。あと、観覧車に乗ってワンテイクで撮られた『3005』のMVも好き。チャイルディッシュ・ガンビーノのMVは大好きで、彼と、彼のMVを多く手掛けてるヒロ・ムライにはすごく刺激を受ける。私が彼らのMVを見て得る感情を、自分の映像を見た人にも与えたいと思ってる。

 

 

—現時点での君の一番のヒット曲『Comic Sans』ではジャック・ハーロウとコラボしてるね。彼のヴァースも最高だけど、君が初めてラップを披露した曲でもある。YouTubeでは100万回以上再生されてるし、その数ヶ月後に彼の人気も急上昇したよね!『What’s Poppin』で今年彼が大ブレイクしたことについてどう思う?彼の人気が君の励みになった?

 

うん、ジャックの成功にはワクワクしてる。単なるファン目線だけど、私は2018年から彼のファンで…自分が“この人は良い”って信じてる人が世間にその価値を認められるのを見るのはすごく好き。だから彼のこともすごく嬉しい。

 

 

—コラボについてだけど、君のデビューEPが今年後半に出る予定だよね。誰がコラボするの?

 

わからないんだ。正直、今年アルバムがリリースされるかどうかも分からなくて。準備は出来てるけど調整中なの。もし今年アルバムを出さなきゃいけないなら出すし。ちゃんと出す意味があるときに出したいって感じかな。

 

 

—じゃあ出来上がってるアルバムはあるってこと?

 

もちろん。仕上がってる曲がたくさんある。

  

  

(写真: Khufu Najee / press)

  

—今年は米国でも多くの社会問題が浮かび上がってきているよね。社会が限界点に達してしまったみたいに。そして今年は君が新しい音楽に取り組んだ時期でもあった。女性として、アジア系アメリカ人として、自分のジェンダーやコミュニティーに関する問題について圧力を感じたことは?そういった事柄が次の楽曲や今後の作品に登場することはある?

 

なにか特定の方法を取らなきゃいけなかったり、一つの典型を象徴しなくちゃいけないと感じたことはないかな。今言った(上の質問の)ようなことに関して私が果たすべき責任を感じるとしたら、自分自身になることに徹すること。自分が作りたいものに正直になること。そうした部分は私のアイデンティティーとしてすごく現実味があって作品に現れざるを得ないから。たった今は、自分のベストを尽くして卓越したレベルでありたい。そうすることで公平な立場にいられると思うから。

 

 

—公平な立場といえば、アーバンミュージックにおけるアジア人・アジア系アメリカ人最優秀レコーディングアーティストの紹介媒体として88risingがすごく影響力を持ってきているよね。88risingとのコラボの経緯は?

 

向こうから連絡が来たの。ちょっと前にDMが来て繋がった。すごく助かってるわ。88risingの活動も面白いし、すごく良好なコラボ関係を保ててる。出版に関しての契約もしてるし、彼らとの仕事はすごく楽しい。機械みたいにきっちり仕事をこなすのがうまい人たちね。

 

 

—2年前に、Joji(ジョージ)がデビューアルバムでビルボードのR&B/ヒップホップチャートで第1位を獲得した初のアジア系アメリカ人レコーディングアーティストになったね。アジア系アメリカ人レコーディングアーティストを賞賛することに関して、アメリカのメインストリームはなぜこんなに遅れていると思う?

 

インターネットがすべてを変えたんじゃないかな。今まではアジア系アメリカ人にとっての壁があったと思う、音楽業界の幹部がアジア系アーティストをどう売り出せばいいか分からなかった部分があったけどその壁が一気に壊された。(メインストリームで流行った映画の影響もあって)いろんな範囲で時代が変わっていってる。映画『クレイジー・リッチ!(英題:Crazy Rich Asians)』とか。全体的に見て、世界がもっとオープンな場所になってるんだと思う。この時代に生まれて恵まれてると思うわ。

 

 

—もしストリートウェアのブランドから自分のラインを展開できるとしたら、誰とコラボしたい?

 

ストリートウェアも大好きだけど、テックウェアや変わったハーネスとかアクセサリーも好きだから、そういうのを作りたい。服は絶対作りたいわ。Basketcaseっていうブランドがすごく好き、めちゃくちゃカッコイイの。 Helmut Lang(ヘルムート・ラング)も大好き。

 

 

—音楽業界について今君が知ってること全部含めて、もしタイムスリップして15歳の自分に将来について教えてあげるとしたら?

 

そうだな、「あなたは今後もどん欲だから、今日やってることを精一杯楽しみなよ」って言うかな。

  

 

元記事 EUPHORIA. (英語)
https://www.euphoriazine.com/blog/2020/10/interviews-audrey-nuna/